2008年06月29日

第107回「考えても見てください」

 「んで、結局どのへんが違うんだ?」
 「今までその手のゲームはある程度あったんだけどね、――もちろんBL以外だよ――やっぱり、東方のパーソナルはダメっていうのとおなじように、区別しなきゃいけないんだよ」
 「俺的にメジャーになってむしろいいと思うんだが」
 「――考えても見てください。我々がやっているようなBLブランドがいきなり男性向けのギャルゲ出してきたら買う?」
 「誰がうまいこと言えと……、たしかに買う気は失せるかもしれないな」
 「そんなもんだよ」
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第107回「考えても見てください」

 「んで、結局どのへんが違うんだ?」
 「今までその手のゲームはある程度あったんだけどね、――もちろんBL以外だよ――やっぱり、東方のパーソナルはダメっていうのとおなじように、区別しなきゃいけないんだよ」
 「俺的にメジャーになってむしろいいと思うんだが」
 「――考えても見てください。我々がやっているようなBLブランドがいきなり男性向けのギャルゲ出してきたら買う?」
 「誰がうまいこと言えと……、たしかに買う気は失せるかもしれないな」
 「そんなもんだよ」
ラベル:ギャルゲー BL
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2008年06月26日

第106話「シリーズの分岐点」

 「女子向けエロゲーが某超有名ブランドから出たが、あれってどうなんだ」
 「ああー、その話はしないで頂けると……」
 「ショックでも受けたのか」
 「……」
 「何の話?」
 「乙女ゲームの発売に関しての議論」
 「で、なんでこの子は落ち込んでるわけ?」
 「常人には判らないんだよ、どうせ」
 「気になるわね」
 「その乙女ゲームが」
 「ち、ちがうわよ!いつもなら喜ぶと思うんだけど」
 「だってそんなものを出しちゃうなんて思っても無かったからね、ショックと言うか、裏切られた気分だよ」
 「でも少女コミックとは違うのか?」
 「違うんだよ、やっぱ今までどおりにシリーズ化していってくれればよかったんだけどね……スリーとか」
 「お前はよくわからんな」
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第106話「シリーズの分岐点」

 「女子向けエロゲーが某超有名ブランドから出たが、あれってどうなんだ」
 「ああー、その話はしないで頂けると……」
 「ショックでも受けたのか」
 「……」
 「何の話?」
 「乙女ゲームの発売に関しての議論」
 「で、なんでこの子は落ち込んでるわけ?」
 「常人には判らないんだよ、どうせ」
 「気になるわね」
 「その乙女ゲームが」
 「ち、ちがうわよ!いつもなら喜ぶと思うんだけど」
 「だってそんなものを出しちゃうなんて思っても無かったからね、ショックと言うか、裏切られた気分だよ」
 「でも少女コミックとは違うのか?」
 「違うんだよ、やっぱ今までどおりにシリーズ化していってくれればよかったんだけどね……スリーとか」
 「お前はよくわからんな」
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2008年06月22日

第105回「張り合い」

 「で、なんだ?お前はギャルゲとエロゲの違いを説くのか?」
 「いやいや、違いはわかってると思うから、少し高レベルなことを」
 「一般人にとってはどれだけくだらないことなんだろうな」
 「まあ、最近は18禁要素が盛り込まれていてもFATEとかAIRとかギャルゲって呼ばれてるあたりだけど、どう思う?」
 「いや、そんな聞かれても困る」
 「私は18禁は全てエロゲーに分類しちゃっていいと思うんだよね」
 「……そうは思えないな」
 「ふふ、言ってみ言ってみ」
 「なんかまんまと手の内に乗らされている気がするが……まあいい。例えどんな良作であろうと俺はエロゲーっていうと安っぽいなんというか軽い言葉になっちまうような気がするんだ、あれでな、美少女って言うより容姿端麗な少女って言ったほうが聞こえがいいだろ?」
 「ふむふむ。私の意見も基本的にはそれと同じだよ」
 「?」
 「私は良作=売れるって思ってるから、売れればPS版やNON18禁版っていうのが後々発売されるじゃん? 特例で後から18禁ってのもあるけど。きっとPSラインセンスにも相当お金がかかっちゃってるから、その分売れるっていう確信を得てるんだよ」
 「それでエロゲはエロゲか……、確かに思いつく良作中の良作はほとんどがNON18禁化してるな」
 「そう、つまりギャルゲーっていうレベルを高めようっていうわけ」
 「ほお、納得だな」
 「私と張り合えるくらいのレベルまで育ってるなんて、関心関心」
 「まあ、なんだ、これは俺にも落ち度があるから言わんが、お前ほどじゃないぞ」
にほんブログ村 小説ブログ コメディー小説へ

さて、105回。

最近は時間に余裕が無くなってき……頭にも余裕がなくなってきて……ネタにm(ry

知り合いとバンド組んでたりしてるのですが、
青春っぽい雰囲気や熱血な情熱なんて無縁のバンドです
いや、曲決めの時のアニソン討論会に関してはドラマ並に熱血な討論会になっていますがw

なんせオタク、腐女子の集まりでして、それはそれはもう暑苦しい――
――のような状況で(悲惨なため一部省略)

さてさて、これからもよろしくお願いします
posted by にのすけ at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第105回「張り合い」

 「で、なんだ?お前はギャルゲとエロゲの違いを説くのか?」
 「いやいや、違いはわかってると思うから、少し高レベルなことを」
 「一般人にとってはどれだけくだらないことなんだろうな」
 「まあ、最近は18禁要素が盛り込まれていてもFATEとかAIRとかギャルゲって呼ばれてるあたりだけど、どう思う?」
 「いや、そんな聞かれても困る」
 「私は18禁は全てエロゲーに分類しちゃっていいと思うんだよね」
 「……そうは思えないな」
 「ふふ、言ってみ言ってみ」
 「なんかまんまと手の内に乗らされている気がするが……まあいい。例えどんな良作であろうと俺はエロゲーっていうと安っぽいなんというか軽い言葉になっちまうような気がするんだ、あれでな、美少女って言うより容姿端麗な少女って言ったほうが聞こえがいいだろ?」
 「ふむふむ。私の意見も基本的にはそれと同じだよ」
 「?」
 「私は良作=売れるって思ってるから、売れればPS版やNON18禁版っていうのが後々発売されるじゃん? 特例で後から18禁ってのもあるけど。きっとPSラインセンスにも相当お金がかかっちゃってるから、その分売れるっていう確信を得てるんだよ」
 「それでエロゲはエロゲか……、確かに思いつく良作中の良作はほとんどがNON18禁化してるな」
 「そう、つまりギャルゲーっていうレベルを高めようっていうわけ」
 「ほお、納得だな」
 「私と張り合えるくらいのレベルまで育ってるなんて、関心関心」
 「まあ、なんだ、これは俺にも落ち度があるから言わんが、お前ほどじゃないぞ」
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さて、105回。

最近は時間に余裕が無くなってき……頭にも余裕がなくなってきて……ネタにm(ry

知り合いとバンド組んでたりしてるのですが、
青春っぽい雰囲気や熱血な情熱なんて無縁のバンドです
いや、曲決めの時のアニソン討論会に関してはドラマ並に熱血な討論会になっていますがw

なんせオタク、腐女子の集まりでして、それはそれはもう暑苦しい――
――のような状況で(悲惨なため一部省略)

さてさて、これからもよろしくお願いします
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2008年06月21日

第104話「違いと互い」

 「私、思ったんだけどさ? 納豆ってネバネバが無ければ日本にここまで普及しなかったんじゃないのかな」
 「……それは納豆じゃないんじゃないか?」
 「……まあ、それは置いといて、もしただの味のついた大豆だったら需要がなくなっちゃうんじゃないかな?」
 「つまり煮豆だろ?あるじゃねーか」
 「やっぱそうだよね? それと同じでさあ、ギャルゲとエロゲの違いもんじゃないかな?」
 「久しぶりに普通のネタ引っ張ってくるから期待してたんだが、やっぱそっちか」
posted by にのすけ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第104話「違いと互い」

 「私、思ったんだけどさ? 納豆ってネバネバが無ければ日本にここまで普及しなかったんじゃないのかな」
 「……それは納豆じゃないんじゃないか?」
 「……まあ、それは置いといて、もしただの味のついた大豆だったら需要がなくなっちゃうんじゃないかな?」
 「つまり煮豆だろ?あるじゃねーか」
 「やっぱそうだよね? それと同じでさあ、ギャルゲとエロゲの違いもんじゃないかな?」
 「久しぶりに普通のネタ引っ張ってくるから期待してたんだが、やっぱそっちか」
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2008年06月16日

第103回「メジャーとマイナーの違い」

 「最近はマイナーなオマージュがあって焦るよ」
 「お前にとってのマイナーは俺たちにとってどんだけマイナーなんだよ」
 「でも最近多くない? 電車の匂いがくさいから『くさいよね〜』っていってるなんて思いもしなかったよ」
 「おまえがそこまで手を着けてるなんて思いもしなかったよ」
 「使ってる銃とかにもなんか伏線があったりね」
 「ほんとお前は、なんにでも手を着けるんだな。関心と言うか……」
 「いやー銃とかならMGSとかやってるうちに知識つくんじゃない? ちなみに朱鷺戸沙耶の銃はコンバットコマンダーだよ」
 「確かに多少はつくが……、後半とか、それも伏線まで考えられるお前は異常だよ」
 「でもその手のものって、一回嵌ったらじっくりググッちゃは無い?」
 「ないない。100%ない」
 「鉄道だってまとめサイト見れば一発で覚えられちゃうよ?」
 「……どうにかしてこの意欲を有効的に使えないのか? ちょっとした天才が出来上がるぞ?」
 「兼愛無私がモットーだよ?」
 「……天才なんて程遠いな」
posted by にのすけ at 22:32| Comment(2) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第103回「メジャーとマイナーの違い」

 「最近はマイナーなオマージュがあって焦るよ」
 「お前にとってのマイナーは俺たちにとってどんだけマイナーなんだよ」
 「でも最近多くない? 電車の匂いがくさいから『くさいよね〜』っていってるなんて思いもしなかったよ」
 「おまえがそこまで手を着けてるなんて思いもしなかったよ」
 「使ってる銃とかにもなんか伏線があったりね」
 「ほんとお前は、なんにでも手を着けるんだな。関心と言うか……」
 「いやー銃とかならMGSとかやってるうちに知識つくんじゃない? ちなみに朱鷺戸沙耶の銃はコンバットコマンダーだよ」
 「確かに多少はつくが……、後半とか、それも伏線まで考えられるお前は異常だよ」
 「でもその手のものって、一回嵌ったらじっくりググッちゃは無い?」
 「ないない。100%ない」
 「鉄道だってまとめサイト見れば一発で覚えられちゃうよ?」
 「……どうにかしてこの意欲を有効的に使えないのか? ちょっとした天才が出来上がるぞ?」
 「兼愛無私がモットーだよ?」
 「……天才なんて程遠いな」
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2008年06月15日

第102話「重度の行く末」

 「詳細の詳ってどう書くんだっけ?」
 「あんたは……なんでそんな簡単な字がかけないのよ」
 「糸偏に羊だったか? ネットでよく使われてるだろ」
 「いやー。ネットに依存してるからこそ書けないんだよ」
 「相当重症じゃない?」
 「お前たまに憂鬱の鬱の字とか朱鷺とか余裕ですらすらかけてたじゃねーか」
 「いや、それもう何でか判ってんじゃないの?」
 「まあ、あんたはその手の物語の登場人物の名前とか全部覚えてそうだしね」
 「よくわかってるね、照れちゃうよ」
 「……誰も照れさせるようなこと言ってないんだが。というか恥じれ」
 「ほこりに思うよ」
 「おい……」
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第102話「重度の行く末」

 「詳細の詳ってどう書くんだっけ?」
 「あんたは……なんでそんな簡単な字がかけないのよ」
 「糸偏に羊だったか? ネットでよく使われてるだろ」
 「いやー。ネットに依存してるからこそ書けないんだよ」
 「相当重症じゃない?」
 「お前たまに憂鬱の鬱の字とか朱鷺とか余裕ですらすらかけてたじゃねーか」
 「いや、それもう何でか判ってんじゃないの?」
 「まあ、あんたはその手の物語の登場人物の名前とか全部覚えてそうだしね」
 「よくわかってるね、照れちゃうよ」
 「……誰も照れさせるようなこと言ってないんだが。というか恥じれ」
 「ほこりに思うよ」
 「おい……」
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2008年06月14日

第101回「刺激がほしけりゃ妄想せよ」

 「はあーあ」
 「どうした」
 「最近はろくなゲームないよ」
 「ゲームってのは……どういうのだ?」
 「御妄想のとおりだとおもうけど?」
 「何が妄想だ」
 「それより昔はいくらどろどろなストーリーになっても終わりよければ全て良しってかんじで、それはそれでよかったんだけどね、最近は何の起伏もなしに終わりかも明らかにないものとかが増えてるんだよ」
 「……つまり起承転結がなってない、と?」
 「いやいや、起承転結に関しては十分たりるに値するんだけどね、起伏が無いんだよ、もっと刺激的な事件が欲しいのさ」
 「……どっかの神様みたいなこと言うんだな」
 「それは置いといて、とにかく起伏が必要なんだよ」
 「いや、俺に講義されても困ると言うものだ」
 「ん〜、クラッシャーとして判らないかな? なんかない?」
 「不思議探してきて?」
 「なっ、知らないわよ!」
 「さて、この会話で何回オマージュ使ったかな?」
 「使ってたのかよ!?」
posted by にのすけ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

第101回「刺激がほしけりゃ妄想せよ」

 「はあーあ」
 「どうした」
 「最近はろくなゲームないよ」
 「ゲームってのは……どういうのだ?」
 「御妄想のとおりだとおもうけど?」
 「何が妄想だ」
 「それより昔はいくらどろどろなストーリーになっても終わりよければ全て良しってかんじで、それはそれでよかったんだけどね、最近は何の起伏もなしに終わりかも明らかにないものとかが増えてるんだよ」
 「……つまり起承転結がなってない、と?」
 「いやいや、起承転結に関しては十分たりるに値するんだけどね、起伏が無いんだよ、もっと刺激的な事件が欲しいのさ」
 「……どっかの神様みたいなこと言うんだな」
 「それは置いといて、とにかく起伏が必要なんだよ」
 「いや、俺に講義されても困ると言うものだ」
 「ん〜、クラッシャーとして判らないかな? なんかない?」
 「不思議探してきて?」
 「なっ、知らないわよ!」
 「さて、この会話で何回オマージュ使ったかな?」
 「使ってたのかよ!?」
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2008年06月07日

「ファンタジー症候群 - 第六章 エンドプロローグ」

 何回目だろうか、また時間遡行なのだろうか。さっきまで何をしていたのだろうか。
 などと、頭の中からふつふつと疑問が湧いてきた。
 起きたら全てが解決しているなんて落ちがあったら良いのになと思う。こんなけったいなことに盛大な落ちよりも早々の落ちのほうを期待する俺は賢明なのか、それともせっかちなだけなのだろうか。

 意識が戻った、と認識するのに約十秒かかり、さらに十秒後、自分のおかれている状況を認識することができた。
 どうやら俺は図書館に居るようである。机に突っ伏していた。恐る恐る視界を上に上げると、目の前には結衣がいる。心配そうにこちらいやっている。
 どうやらニ時間後まで時間遡行してきたようである。
「起きた?」
「ああ」
 と答え、さっきまでの情景を思い出し、右肩に左手を当てた。なんともない。
 そういえば階段の踊り場で倒れて、結衣に介抱されたときに右肩に違和感があったことを思い出す。あの違和感の正体はこれか。

 さっきまで起こっていたことを思い出す。
 陽菜は階段に俺を呼び出し、そこで俺が階段から落ちた。そして、右肩に衝撃がきて、次に左肩に陽菜が落ちてきた衝撃が来るはずだったのがなにもなく、それを見るとそこには誰も居ず、あっけらかんとしたのだ。
 その後すぐに気を失ってしまったため確認することもできなかった。が、確認しようともあのときに陽菜が消えていたのはほぼ確定であろう。
 陽菜が俺の手を握っていたぬくもりが突如として消えたのだから。あのままいけば某アニメのハプニングっぽくなっていたはずである。いや、望んでいたわけではないが。

「どこから来た?」
 目の前の結衣が聞いてくる。
「ああ、えーっと今五時だとすれば二時間前からだ」
「へぇ……ってことは異世界遡行の案は潰れたのね」
 確かに異世界との遡行を考えると今回は辻褄が合わなくなる。
 そして、さっきまでの奇怪中の奇怪とも言えよう二時間について全て話した。

 んで話し終わった今。
「階段に行ったときには、陽菜。さっぱり居なかったわよ?」
 そこが俺にもわからないところでもある。
「でもそうなるとそのときの陽菜は何処にいったのかしら」
「俺と同じく時間移動やらなんやらをしたのかもしれないな」
 陽菜までもが時間遡行するとなるとそれはかなりややこしいことになっているように思う。いや、すでにややこしいことは規定事項なのだが。
「でもそうよね、だから何処を探しても居なかったのかしら」
「いや、ちょっとまて、じゃあ三時過ぎに来たメールはどうなる。三時に異世界なり異時間に位相転移してるんだったらメールは来るはずじゃなかったんじゃないのか?」 
「そうよね……。じゃあその後またこの時間帯に陽菜は戻って来たんじゃないの? そうすれば納得がいくわよ」
 まあたしかにそうではあるとは言えるが、陽菜も同様そんな現象になってるとしたらどうなるのだろう。
「ものすごく面倒くさいことになってしまってるってことだよな」
「そうね。この時間帯に陽菜が居れば良いんだけれど」
 そういえば五時になってからはまだ陽菜に連絡してないんじゃないか?もし俺と同じタイミングに転移してるのであればもしかしたらこの時間帯に戻ってきているということも考えられる。
「そうね、試してみましょうかしら」
 と言って結衣はポケットから携帯電話を取り出して操作をする。――おい、図書館は携帯使用禁止じゃねーのか。
「廊下で堂々と使って先生に取り上げられるよりかはましでしょ?」
「いや、それもどうかと思うんだが……」
 まあ仕方ないか。
 ――結衣は携帯を手に取り少しの動作をして携帯を耳に当てた。待つとも言えぬ時間をとって結衣は反応した。
「あ、陽菜?」
 お、どうやら通じたようである。今まで何をしていたのか……。
「え? 今? ……っていうかどこかわかってんの? …………全知全能って、なにがよ。……してないわよぉ! ……そう……え? ――」
 ――ばたんっ!
 もちろんこの効果音は俺の心境効果でもないし、ましてや結衣の発した擬音でもない。
「やっほー!真打ち登場〜」
 となどこかで聞いたことある台詞を振りまきながらご登場なさったのはどこぞの陽菜とやらであった。
 ――いやあ、結衣の電話の内容を聞いてれば何となく推測はできたさ。
「あんたね〜、どこいってたのよっ」
 と結衣、さすがにいきなりの登場に驚いていたがすぐに切り替え陽菜への尋問モードに入ったようだ。
「っていうか大声だすな」
「図書館で携帯使ってるヒトに言われると説得力ないね」
 と言われ、結衣は慌てて携帯をポケットに突っ込む。
「とりあえず教えてくれない? どういう風になってるのか」
「ああ、さっきまで結構さがしてたんだぜ?」
 いきなりのご登場に早くも聞きたくなることは山々なのだが、説教も忘れてはまた陽菜は同じことをやらかしかねない。
「まあ、それよりも聞きたいことあるんじゃないの?」
 こうやってさっそく説教逃れをしようとする。――まあ今回は聞き出さなければいけないことがたくさんある故に後回しにしてもいいであろう。
「とりあえずお前はいままで何処で何してたんだ」
「まあ時間遡行とか色々としてきましたよ」
 結衣と俺は沈黙する。――理由は明白だ。
『――は!?』
 例のごとくお約束のようにはもる。
 が、そんなこと考えている意味はない。いや、考えられていると言うことは割と想定内の範疇だったのかもしれない。
「ちょっと、なによ、あんたも時間遡行したってこと?」
 結衣は動揺したようである。
「また話がややこしくなってるのか?」
「ややこしくなったけど、まあ順を追って説明するよ」

「最初に聞いておくが、それは解決してるのか」
 俺は今一番気になってることを聞いた。いい返答は期待できないが、聞くだけ聞いてみる。
「えーとね」と前置きしてしばらく間を置いてから、「微妙かな。人によってはこれで解決したって思う人もいるし、意図的に今まであったことを否定しようとする人もいるよ」
 前者はいい。単純に解決したということだ。しかし後者。――これは後味の良くない解決ということだ。陽菜のニュアンスだと解決しているには解決しているが、バットエンドのような、納得はできるが良い展開ではないということだ。
 つまり俺に拒否権があることを遠まわしに伝えているように聞こえる。……つまり俺には現実逃避――いや、この場合は幻想逃避とでもいうのかもしれない。――するか、しないかを選べと言うことだ。
 俺は現実逃避する気はさらさら無い。ここまで俺を悩ませといてそんなもの無かったので忘れてください――なんて言われてそう簡単に身を引けるほど手軽ではない。例えどれほど後味が悪いものだとしても俺はその現実を受け入れる自信がある。
 だから今から言うことは保険だ。保険として陽菜に聞くことにした。
「お前はどっちだ? どう思っている?」
「私は前者だよ。これは一つの物語として成り立つものだよ」
 これで俺は確信を得ることができた。これから全て陽菜に語ってもらおうと思う。

「まずね、物語は大まかに分けて二種類に分かれてると思うのさ。一つはコメディー。俗にいうTRUE ENDやHAPPY END、喜劇などと呼ばれる奴だね。最近の作品はほとんどがこれに分類されているよね。で、もう一つはトラジェディー。BAD ENDやDEAD END、悲劇って呼ばれるやつだね。フラグを間違えたりするとこのルートに出ちゃうよね」
 いきなり何をいいだすのだろうか、この人は。
 結衣も同じことを思ってるようで首をかしげている。
「でもね、それはあくまで物語。物語の中の世界の話なんだよ」
 ……それは判る。現実は悲劇にしろ喜劇にしろ、そんな巧い話にならない。これは俺が子供の頃から思っていたことだ。
「じゃあ、物語の上に来る分類はなにかわかる? これもまた二つに分かれるよ」
 俺は思いのままのことを言った。
「物語と――現実か?」
「……あれ、答えられないことを想定してたんだけど……」
 思わず陽菜の困惑顔に笑ってしまった。
「それが現実だな」
「……まさにそうだね」
「じゃあちょっとまってよ、ノンフィクションとかはどうなの?」
 昔、少しばかりませたガキだったころの記憶を思い出す。――関係ないが、子供の頃あれほどませて冷めたガキだったせいで今その反動のためこんなガキっぽい高校生になってしまったのかもしれない。
「物語イコール幻想ってのはちがうぞ、物語になる条件ってゆーのは話になるかと話にならないかの違いだと思うんだ」
「あーん、もうっ、役割取らないでよ!」
 陽菜を華麗にスルーして話を続けた。
「ノンフィクションってーのはあれだ、何か異常なことや特殊なことがあったから書いてるんだ、もしそれが何の変哲も無い日常風景だったら特筆する意味が無いだろ」
「ああ、なるほどね、なんとなくわかったわ。でも何の関係があるの? 今の事件と」
 俺も思う、この事件となにが関係しているのかと。
「でね、現実っていう物語はファンタジーでも有効になる場合があるんだよ。たとえば今怒ってる事件。これは傍からみて、当事者からでもファンタジーって判るよね、でもいくら魔法使いがいたって、いくら宇宙人がいたって、物語にはならない場合があるんだよ」
 ……ファンタジーが物語じゃない? どういうことだ?
「最初に私はいったよね、話になるか、ならないかが現実と幻想の隔てだとするよ。じゃあ超能力者がいました、でもその能力を自覚することも、発現させることも無く超能力者はこの世を去っていきました。もしこれに次ぐ物語が無かったらそれはさっぱり話しにならないよね」
 ……なるほど。
 そうだな、ニュース番組で日常を取り上げたってしょうがない。どんな非日常の出来事でもそれが日常的に見えてしまえば、それは特殊でもなんでもなく普遍として捕らえられてしまうのだ。
「だからそれが何の関係があるのよ」
「じゃあね、今から私の経緯を話すよ。雄二にとっては先刻、階段から落ちてここに来たよね。そのとき私も一緒に落ちていたはずだけど、そのとき何か感じなかった?」
「お前が目の前から消えてたな」
「うん。多分何かの衝撃で時空移動をしたんだと思う。気が付いたら自分の部屋にいたんだよ、ほんと、いつの間に」
 階段に落ちてお前を見失ったのは決して幻覚じゃなかったようだ。
「その時の時間が四時五五分位。制服で自分のポケットには携帯と朝、自分の下駄箱にあった手紙と雄二が持ってた手紙」
「え?あれ、何でお前が持ってるんだ?」
 確かそれは俺が持っていたはずの手紙だ。思いポケットを探る。――無い。
「きっと都合がいいようになるために交換したんじゃないの?」
 都合って……誰のだよ。
「さあ?世界の創造主とか?」
「まじめに聞いてるんだけど」
 と結衣、
「あれ?まじめに答えたつもりなんだけど」
 何を言うか。さっぱりまじめに聞こえない。
「まあそれは置いといて、雄二が言ってたように私は早朝にわざわざ学校まで出向いてその紙を私と雄二の下駄箱にほおりこんで雄二に会って笑って見送ったんだよ?」
 これは俺も体験した朝のことだろう。
「ちょっとまて、じゃあお前はどうした。俺が倒れたときにお前は倒れなかったのか?
「うん。雄二の見たとおりだよ」
 ……あの笑っていたすがたは規定事項をなぞっただけだったのか……。一人で考え込んでいた俺が馬鹿だった。
「じゃあその後はどうしたんだ」
「携帯を下駄箱にほおりこんで町をぶらぶらしてたよ。宝くじでなにか――」
「まて、なんだ?下駄箱に携帯をほおりこんだって――」
「ああ、私が貰った手紙には携帯電話を屋上に行ったら落とせって書いてあったから言うとおりに雄二と踊り場に行ったとき落としたんだよ」
「その手紙は結局誰が書いたの?」
「それがわかればこの事件の手を引いた人がわかるも同然だし、時間軸的には誰も書いてないことになってるんだよ」
 誰も書いていない――というのはその手紙は時間軸をループしつづけているということだ。しかしそれでは――
「じゃあその紙はループするごとに風化していくんじゃないか?」
「……そうだね。三つくらい仮定ができるよ。これは根本的な世界の概念にも関係するよ。それは私達は比較的新しい紙だったけど、もっと別の世界軸だったらものすごく古いやつだったかもしれないって言う有限世界説」
 ここからは陽菜の言ったことを割愛させて説明しよう。

 つまり有限な世界だ。手紙をループし続ける……というよりは異世界に渡りつづけるといったほうがいいだろう。もし異世界にいたらとても古い紙が届いたのかもしれない。しかしいつかは風化してなくなってしまう。これは避けられないことだ。つまり異世界が進むごとに矛盾が生じていくことになる。
 次に考えられるのは単独世界説。文字通り世界は一直線で異世界どうしは決して干渉しあわない説だ。これはある意味一番有力かもしれない。つまり、手紙が時間軸を遡る際に元の時間軸にあった分子に戻るということだ。
 最後に手紙の紙質が一生風化しないものという、これはこれで非現実的なものである。
 現段階でいえることはさっぱり無い。しいて言うなれば膠着状態。ここは陽菜にといてもらわなければならないであろう。
「で、話は戻るけど、宝くじとかみたりして、なんかお金儲けする方法ないかなーとか見てたりした」
「……いや、そんなのどうでもいい、とにかくこの事件に関係している話だけしてくれ」
「でも不思議だよね。宝くじとかも、だってさ――」
『話を逸らすな!』
 またも陽菜の外れたトークに流されかける俺と結衣だったが。いい加減始めてもらわないと困る。
「なによう、二人して。――それでね、ずーと暇をつぶしてたわけ、それでさっきここに来た」
 ……それだけ?
「で、結論とやらはどうなのか?」
「それが結論だよ」
 呆気らかん。何を言いやがる。
 それは結論じゃなくて行動だ。
「だってそれが現実。現実が答えだよ」
 意味が分からない。
「この現実からは答えを導き出すことはできないけど、答えに近い仮定ならいくらでも出すことができるよ」
「なんだ、行ってみろ」
「時間遡行っていうのは矛盾点だらけだよね。例えば原因と結果の関係がなくなる、とか。きっと事件って言うのは原因から始まって結果に終わるの。たとえば交通事故だってよそ見してたっていう原因があってこそ事故が起こったていうことになるでしょ?でもこの場合は違うの。原因と原因の関係。結果と結果の関係。時間遡行したから時間遡行した。手紙が下駄箱にはいってたから手紙が下駄箱に入ってた。全部そう。一生ループして結果は結果に、原因は原因にたどりつく。それが時間遡行だと思うんだよ」
 俺は考えていた。
 こじつけだ。俺はそう思いたかった。だが、否めない。陽菜が言うのは論理的帰結。なにも間違っていない、エンドレスループの世界。しかしそれは自分を一生思考ループの中に閉じ込める……原因の原因を求めるために原因を求める――と言うことになる。それを避けるには――現実逃避だけだ。
「そう。現実逃避こそ最良の打開策だよ、時間遡行をしたから時間遡行をした。じゃあ何で時間遡行をした?それは時間遡行をしたから、っていうループにずっと飲み込まれることになるんだよ」
「じゃあ、せめて、――」
 と、言葉が途切れる。原因はなんだ? 手紙が下駄箱に入っていたせいか? なぜ俺は時間移動をしていたのか? だれにさせられていたのか? 俺はただ世界の辻褄をあわせるためだけに時間遡行してしまったのだろうか。
「――それが、答えだよ、結論じゃなくて。現実はいつでも悲惨な結果を呼ぶよ」 
「それで、最初の話か。現実と物語っていう」
「そうだね。それでね多分これで終わりだと思うんだよね、時間遡行は」
 時計を見る。すでに五時五十分頃になっている。
 これでなにもなかったら本当に話にならない現実として終わってしまう。
 今なら、非現実でも何でも来てしまえと言える。心の中で嘆いている。
「何でお前は納得することができるんだ?」
「あのね?最初に言ったとおり私はこれを物語だと思ってるんだよ。これはこれで物語る物語。ループ物語とでも名づけられる代物だよ」
 そこで言葉を区切り、飛び切りの笑顔でこう言った。
「雄二といると、これはただの始まりだっ、て、思うんだよ」

 それは、始まり。これから何があるかもさっぱり判らない世界。日常を続けられる可能性だって未知数だが、非現実的なことが起こる可能性だって、等しく未知数だ。
 確かに、ここまで非現実的なことがあれば、仕向けてる奴だっていつかは姿を表すかもしれない。
 ここから一気に展開が起こるなんて、現実でも、幻想でも、常識だ。
 無縁だった非日常を現実としてみることなんてとても簡単なことなんだろうと思う。いや、そう思わなくては人生を損してしまうだろう。俺は、これからを楽しく生きようと思う。

 時計を見ると、すでに六時五五分になっていた。
 
 


   エンド・プロローグ


 翌日。
 ホントに色々あったせいか、昨日の記憶を振り返れば小学生時代に浸ってるような感覚になってしまうほど離れた存在になっていた。
 相当の疲労のせいか、また目覚ましは役割を果たさず、二度寝の最中に親にたたき起こされたが、目覚めはいつもより新鮮に感じられることができた。
 これもあの事件のお陰かとでも思いやら。

 んで朝。
 俺は昨日のこともとうに忘れはて、――
 
 ――またもや非、日常に呆れる羽目になってしまった。

 はぁ、俺は何を変態を誘き寄せる力があるのかぁ…?


テスト明け、さっそく更新です。

ようやくファンタジー症候郡が完結しました。
改行がおかしくなっているものがあるのでテキストデータで公開します。

春短編.txt


ようやく本格始動して参りました。
ええ、いままでのはプロローグでしかなかったのです。

ここからいつも別の話へとつなげていき、徐々に謎が解かれていく物語を作っていきたいと思います、
もう電車の中やトイレの中で日夜妄s――プロットを組み上げてしまっているので
もう書きたいことがたくさんあります

これからもオタク日常茶飯事をよろしくお願いします!
posted by にのすけ at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ファンタジー症候群 - 第六章 エンドプロローグ」

 何回目だろうか、また時間遡行なのだろうか。さっきまで何をしていたのだろうか。
 などと、頭の中からふつふつと疑問が湧いてきた。
 起きたら全てが解決しているなんて落ちがあったら良いのになと思う。こんなけったいなことに盛大な落ちよりも早々の落ちのほうを期待する俺は賢明なのか、それともせっかちなだけなのだろうか。

 意識が戻った、と認識するのに約十秒かかり、さらに十秒後、自分のおかれている状況を認識することができた。
 どうやら俺は図書館に居るようである。机に突っ伏していた。恐る恐る視界を上に上げると、目の前には結衣がいる。心配そうにこちらいやっている。
 どうやらニ時間後まで時間遡行してきたようである。
「起きた?」
「ああ」
 と答え、さっきまでの情景を思い出し、右肩に左手を当てた。なんともない。
 そういえば階段の踊り場で倒れて、結衣に介抱されたときに右肩に違和感があったことを思い出す。あの違和感の正体はこれか。

 さっきまで起こっていたことを思い出す。
 陽菜は階段に俺を呼び出し、そこで俺が階段から落ちた。そして、右肩に衝撃がきて、次に左肩に陽菜が落ちてきた衝撃が来るはずだったのがなにもなく、それを見るとそこには誰も居ず、あっけらかんとしたのだ。
 その後すぐに気を失ってしまったため確認することもできなかった。が、確認しようともあのときに陽菜が消えていたのはほぼ確定であろう。
 陽菜が俺の手を握っていたぬくもりが突如として消えたのだから。あのままいけば某アニメのハプニングっぽくなっていたはずである。いや、望んでいたわけではないが。

「どこから来た?」
 目の前の結衣が聞いてくる。
「ああ、えーっと今五時だとすれば二時間前からだ」
「へぇ……ってことは異世界遡行の案は潰れたのね」
 確かに異世界との遡行を考えると今回は辻褄が合わなくなる。
 そして、さっきまでの奇怪中の奇怪とも言えよう二時間について全て話した。

 んで話し終わった今。
「階段に行ったときには、陽菜。さっぱり居なかったわよ?」
 そこが俺にもわからないところでもある。
「でもそうなるとそのときの陽菜は何処にいったのかしら」
「俺と同じく時間移動やらなんやらをしたのかもしれないな」
 陽菜までもが時間遡行するとなるとそれはかなりややこしいことになっているように思う。いや、すでにややこしいことは規定事項なのだが。
「でもそうよね、だから何処を探しても居なかったのかしら」
「いや、ちょっとまて、じゃあ三時過ぎに来たメールはどうなる。三時に異世界なり異時間に位相転移してるんだったらメールは来るはずじゃなかったんじゃないのか?」 
「そうよね……。じゃあその後またこの時間帯に陽菜は戻って来たんじゃないの? そうすれば納得がいくわよ」
 まあたしかにそうではあるとは言えるが、陽菜も同様そんな現象になってるとしたらどうなるのだろう。
「ものすごく面倒くさいことになってしまってるってことだよな」
「そうね。この時間帯に陽菜が居れば良いんだけれど」
 そういえば五時になってからはまだ陽菜に連絡してないんじゃないか?もし俺と同じタイミングに転移してるのであればもしかしたらこの時間帯に戻ってきているということも考えられる。
「そうね、試してみましょうかしら」
 と言って結衣はポケットから携帯電話を取り出して操作をする。――おい、図書館は携帯使用禁止じゃねーのか。
「廊下で堂々と使って先生に取り上げられるよりかはましでしょ?」
「いや、それもどうかと思うんだが……」
 まあ仕方ないか。
 ――結衣は携帯を手に取り少しの動作をして携帯を耳に当てた。待つとも言えぬ時間をとって結衣は反応した。
「あ、陽菜?」
 お、どうやら通じたようである。今まで何をしていたのか……。
「え? 今? ……っていうかどこかわかってんの? …………全知全能って、なにがよ。……してないわよぉ! ……そう……え? ――」
 ――ばたんっ!
 もちろんこの効果音は俺の心境効果でもないし、ましてや結衣の発した擬音でもない。
「やっほー!真打ち登場〜」
 となどこかで聞いたことある台詞を振りまきながらご登場なさったのはどこぞの陽菜とやらであった。
 ――いやあ、結衣の電話の内容を聞いてれば何となく推測はできたさ。
「あんたね〜、どこいってたのよっ」
 と結衣、さすがにいきなりの登場に驚いていたがすぐに切り替え陽菜への尋問モードに入ったようだ。
「っていうか大声だすな」
「図書館で携帯使ってるヒトに言われると説得力ないね」
 と言われ、結衣は慌てて携帯をポケットに突っ込む。
「とりあえず教えてくれない? どういう風になってるのか」
「ああ、さっきまで結構さがしてたんだぜ?」
 いきなりのご登場に早くも聞きたくなることは山々なのだが、説教も忘れてはまた陽菜は同じことをやらかしかねない。
「まあ、それよりも聞きたいことあるんじゃないの?」
 こうやってさっそく説教逃れをしようとする。――まあ今回は聞き出さなければいけないことがたくさんある故に後回しにしてもいいであろう。
「とりあえずお前はいままで何処で何してたんだ」
「まあ時間遡行とか色々としてきましたよ」
 結衣と俺は沈黙する。――理由は明白だ。
『――は!?』
 例のごとくお約束のようにはもる。
 が、そんなこと考えている意味はない。いや、考えられていると言うことは割と想定内の範疇だったのかもしれない。
「ちょっと、なによ、あんたも時間遡行したってこと?」
 結衣は動揺したようである。
「また話がややこしくなってるのか?」
「ややこしくなったけど、まあ順を追って説明するよ」

「最初に聞いておくが、それは解決してるのか」
 俺は今一番気になってることを聞いた。いい返答は期待できないが、聞くだけ聞いてみる。
「えーとね」と前置きしてしばらく間を置いてから、「微妙かな。人によってはこれで解決したって思う人もいるし、意図的に今まであったことを否定しようとする人もいるよ」
 前者はいい。単純に解決したということだ。しかし後者。――これは後味の良くない解決ということだ。陽菜のニュアンスだと解決しているには解決しているが、バットエンドのような、納得はできるが良い展開ではないということだ。
 つまり俺に拒否権があることを遠まわしに伝えているように聞こえる。……つまり俺には現実逃避――いや、この場合は幻想逃避とでもいうのかもしれない。――するか、しないかを選べと言うことだ。
 俺は現実逃避する気はさらさら無い。ここまで俺を悩ませといてそんなもの無かったので忘れてください――なんて言われてそう簡単に身を引けるほど手軽ではない。例えどれほど後味が悪いものだとしても俺はその現実を受け入れる自信がある。
 だから今から言うことは保険だ。保険として陽菜に聞くことにした。
「お前はどっちだ? どう思っている?」
「私は前者だよ。これは一つの物語として成り立つものだよ」
 これで俺は確信を得ることができた。これから全て陽菜に語ってもらおうと思う。

「まずね、物語は大まかに分けて二種類に分かれてると思うのさ。一つはコメディー。俗にいうTRUE ENDやHAPPY END、喜劇などと呼ばれる奴だね。最近の作品はほとんどがこれに分類されているよね。で、もう一つはトラジェディー。BAD ENDやDEAD END、悲劇って呼ばれるやつだね。フラグを間違えたりするとこのルートに出ちゃうよね」
 いきなり何をいいだすのだろうか、この人は。
 結衣も同じことを思ってるようで首をかしげている。
「でもね、それはあくまで物語。物語の中の世界の話なんだよ」
 ……それは判る。現実は悲劇にしろ喜劇にしろ、そんな巧い話にならない。これは俺が子供の頃から思っていたことだ。
「じゃあ、物語の上に来る分類はなにかわかる? これもまた二つに分かれるよ」
 俺は思いのままのことを言った。
「物語と――現実か?」
「……あれ、答えられないことを想定してたんだけど……」
 思わず陽菜の困惑顔に笑ってしまった。
「それが現実だな」
「……まさにそうだね」
「じゃあちょっとまってよ、ノンフィクションとかはどうなの?」
 昔、少しばかりませたガキだったころの記憶を思い出す。――関係ないが、子供の頃あれほどませて冷めたガキだったせいで今その反動のためこんなガキっぽい高校生になってしまったのかもしれない。
「物語イコール幻想ってのはちがうぞ、物語になる条件ってゆーのは話になるかと話にならないかの違いだと思うんだ」
「あーん、もうっ、役割取らないでよ!」
 陽菜を華麗にスルーして話を続けた。
「ノンフィクションってーのはあれだ、何か異常なことや特殊なことがあったから書いてるんだ、もしそれが何の変哲も無い日常風景だったら特筆する意味が無いだろ」
「ああ、なるほどね、なんとなくわかったわ。でも何の関係があるの? 今の事件と」
 俺も思う、この事件となにが関係しているのかと。
「でね、現実っていう物語はファンタジーでも有効になる場合があるんだよ。たとえば今怒ってる事件。これは傍からみて、当事者からでもファンタジーって判るよね、でもいくら魔法使いがいたって、いくら宇宙人がいたって、物語にはならない場合があるんだよ」
 ……ファンタジーが物語じゃない? どういうことだ?
「最初に私はいったよね、話になるか、ならないかが現実と幻想の隔てだとするよ。じゃあ超能力者がいました、でもその能力を自覚することも、発現させることも無く超能力者はこの世を去っていきました。もしこれに次ぐ物語が無かったらそれはさっぱり話しにならないよね」
 ……なるほど。
 そうだな、ニュース番組で日常を取り上げたってしょうがない。どんな非日常の出来事でもそれが日常的に見えてしまえば、それは特殊でもなんでもなく普遍として捕らえられてしまうのだ。
「だからそれが何の関係があるのよ」
「じゃあね、今から私の経緯を話すよ。雄二にとっては先刻、階段から落ちてここに来たよね。そのとき私も一緒に落ちていたはずだけど、そのとき何か感じなかった?」
「お前が目の前から消えてたな」
「うん。多分何かの衝撃で時空移動をしたんだと思う。気が付いたら自分の部屋にいたんだよ、ほんと、いつの間に」
 階段に落ちてお前を見失ったのは決して幻覚じゃなかったようだ。
「その時の時間が四時五五分位。制服で自分のポケットには携帯と朝、自分の下駄箱にあった手紙と雄二が持ってた手紙」
「え?あれ、何でお前が持ってるんだ?」
 確かそれは俺が持っていたはずの手紙だ。思いポケットを探る。――無い。
「きっと都合がいいようになるために交換したんじゃないの?」
 都合って……誰のだよ。
「さあ?世界の創造主とか?」
「まじめに聞いてるんだけど」
 と結衣、
「あれ?まじめに答えたつもりなんだけど」
 何を言うか。さっぱりまじめに聞こえない。
「まあそれは置いといて、雄二が言ってたように私は早朝にわざわざ学校まで出向いてその紙を私と雄二の下駄箱にほおりこんで雄二に会って笑って見送ったんだよ?」
 これは俺も体験した朝のことだろう。
「ちょっとまて、じゃあお前はどうした。俺が倒れたときにお前は倒れなかったのか?
「うん。雄二の見たとおりだよ」
 ……あの笑っていたすがたは規定事項をなぞっただけだったのか……。一人で考え込んでいた俺が馬鹿だった。
「じゃあその後はどうしたんだ」
「携帯を下駄箱にほおりこんで町をぶらぶらしてたよ。宝くじでなにか――」
「まて、なんだ?下駄箱に携帯をほおりこんだって――」
「ああ、私が貰った手紙には携帯電話を屋上に行ったら落とせって書いてあったから言うとおりに雄二と踊り場に行ったとき落としたんだよ」
「その手紙は結局誰が書いたの?」
「それがわかればこの事件の手を引いた人がわかるも同然だし、時間軸的には誰も書いてないことになってるんだよ」
 誰も書いていない――というのはその手紙は時間軸をループしつづけているということだ。しかしそれでは――
「じゃあその紙はループするごとに風化していくんじゃないか?」
「……そうだね。三つくらい仮定ができるよ。これは根本的な世界の概念にも関係するよ。それは私達は比較的新しい紙だったけど、もっと別の世界軸だったらものすごく古いやつだったかもしれないって言う有限世界説」
 ここからは陽菜の言ったことを割愛させて説明しよう。

 つまり有限な世界だ。手紙をループし続ける……というよりは異世界に渡りつづけるといったほうがいいだろう。もし異世界にいたらとても古い紙が届いたのかもしれない。しかしいつかは風化してなくなってしまう。これは避けられないことだ。つまり異世界が進むごとに矛盾が生じていくことになる。
 次に考えられるのは単独世界説。文字通り世界は一直線で異世界どうしは決して干渉しあわない説だ。これはある意味一番有力かもしれない。つまり、手紙が時間軸を遡る際に元の時間軸にあった分子に戻るということだ。
 最後に手紙の紙質が一生風化しないものという、これはこれで非現実的なものである。
 現段階でいえることはさっぱり無い。しいて言うなれば膠着状態。ここは陽菜にといてもらわなければならないであろう。
「で、話は戻るけど、宝くじとかみたりして、なんかお金儲けする方法ないかなーとか見てたりした」
「……いや、そんなのどうでもいい、とにかくこの事件に関係している話だけしてくれ」
「でも不思議だよね。宝くじとかも、だってさ――」
『話を逸らすな!』
 またも陽菜の外れたトークに流されかける俺と結衣だったが。いい加減始めてもらわないと困る。
「なによう、二人して。――それでね、ずーと暇をつぶしてたわけ、それでさっきここに来た」
 ……それだけ?
「で、結論とやらはどうなのか?」
「それが結論だよ」
 呆気らかん。何を言いやがる。
 それは結論じゃなくて行動だ。
「だってそれが現実。現実が答えだよ」
 意味が分からない。
「この現実からは答えを導き出すことはできないけど、答えに近い仮定ならいくらでも出すことができるよ」
「なんだ、行ってみろ」
「時間遡行っていうのは矛盾点だらけだよね。例えば原因と結果の関係がなくなる、とか。きっと事件って言うのは原因から始まって結果に終わるの。たとえば交通事故だってよそ見してたっていう原因があってこそ事故が起こったていうことになるでしょ?でもこの場合は違うの。原因と原因の関係。結果と結果の関係。時間遡行したから時間遡行した。手紙が下駄箱にはいってたから手紙が下駄箱に入ってた。全部そう。一生ループして結果は結果に、原因は原因にたどりつく。それが時間遡行だと思うんだよ」
 俺は考えていた。
 こじつけだ。俺はそう思いたかった。だが、否めない。陽菜が言うのは論理的帰結。なにも間違っていない、エンドレスループの世界。しかしそれは自分を一生思考ループの中に閉じ込める……原因の原因を求めるために原因を求める――と言うことになる。それを避けるには――現実逃避だけだ。
「そう。現実逃避こそ最良の打開策だよ、時間遡行をしたから時間遡行をした。じゃあ何で時間遡行をした?それは時間遡行をしたから、っていうループにずっと飲み込まれることになるんだよ」
「じゃあ、せめて、――」
 と、言葉が途切れる。原因はなんだ? 手紙が下駄箱に入っていたせいか? なぜ俺は時間移動をしていたのか? だれにさせられていたのか? 俺はただ世界の辻褄をあわせるためだけに時間遡行してしまったのだろうか。
「――それが、答えだよ、結論じゃなくて。現実はいつでも悲惨な結果を呼ぶよ」 
「それで、最初の話か。現実と物語っていう」
「そうだね。それでね多分これで終わりだと思うんだよね、時間遡行は」
 時計を見る。すでに五時五十分頃になっている。
 これでなにもなかったら本当に話にならない現実として終わってしまう。
 今なら、非現実でも何でも来てしまえと言える。心の中で嘆いている。
「何でお前は納得することができるんだ?」
「あのね?最初に言ったとおり私はこれを物語だと思ってるんだよ。これはこれで物語る物語。ループ物語とでも名づけられる代物だよ」
 そこで言葉を区切り、飛び切りの笑顔でこう言った。
「雄二といると、これはただの始まりだっ、て、思うんだよ」

 それは、始まり。これから何があるかもさっぱり判らない世界。日常を続けられる可能性だって未知数だが、非現実的なことが起こる可能性だって、等しく未知数だ。
 確かに、ここまで非現実的なことがあれば、仕向けてる奴だっていつかは姿を表すかもしれない。
 ここから一気に展開が起こるなんて、現実でも、幻想でも、常識だ。
 無縁だった非日常を現実としてみることなんてとても簡単なことなんだろうと思う。いや、そう思わなくては人生を損してしまうだろう。俺は、これからを楽しく生きようと思う。

 時計を見ると、すでに六時五五分になっていた。
 
 


   エンド・プロローグ


 翌日。
 ホントに色々あったせいか、昨日の記憶を振り返れば小学生時代に浸ってるような感覚になってしまうほど離れた存在になっていた。
 相当の疲労のせいか、また目覚ましは役割を果たさず、二度寝の最中に親にたたき起こされたが、目覚めはいつもより新鮮に感じられることができた。
 これもあの事件のお陰かとでも思いやら。

 んで朝。
 俺は昨日のこともとうに忘れはて、――
 
 ――またもや非、日常に呆れる羽目になってしまった。

 はぁ、俺は何を変態を誘き寄せる力があるのかぁ…?


テスト明け、さっそく更新です。

ようやくファンタジー症候郡が完結しました。
改行がおかしくなっているものがあるのでテキストデータで公開します。

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ようやく本格始動して参りました。
ええ、いままでのはプロローグでしかなかったのです。

ここからいつも別の話へとつなげていき、徐々に謎が解かれていく物語を作っていきたいと思います、
もう電車の中やトイレの中で日夜妄s――プロットを組み上げてしまっているので
もう書きたいことがたくさんあります

これからもオタク日常茶飯事をよろしくお願いします!
ラベル:超展開 現実
posted by にのすけ at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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