2008年08月04日

第111回「オフィシャルとオリジナル」

 〜ゲーセンにて
 「わたしはね、コンシューマ版は練習用でアーケード版は本番用だと信じてるよ」
 「根拠も無しに信じてると言われてもだなぁ……」
 「大会とかどちらかというと家庭版の方がおおかったりするけどさ、そのせいでレベルがピンきりなんだよ」
 「ああ、なんとなくオフィシャルとオリジナルの差っていうもんがあるな」
 「おー、わかるねー。でもアーケード版とちょっと操作性が違ったりすることもあるんだよね。あれも結構厄介だよ」
 「そうなのか?っていうかお前はほんとレベルが高いな」
 「そうかな、レースゲームとかでは操作性がちがったりするから、出費が激しいんだよね」
 「俺は使ってもせいぜい千円くらいだがな」
posted by にのすけ at 09:30| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月31日

リトルバスターズ!エクスタシーのTAB作ってみた

TAB作りました
リトルバスターズ!エクスタシーです。

リトバスEX_TAB.zip

番宣かねているのでご勘弁を

なかなか作る人がいないので見るに見かねて作りました
隔離スレなどで主に公開してたりします。

最後の方はやけくそになってやっていたのでリズムが狂いまくりですが
『あー、これがいいたいわけだな』とか察してやってください

2次配布に関しては許可しますが、リンク元やらを書いたり、この記事にリンクしてください

間違いに関してはコメント欄にて受け付けます

次回は冬もマシンガンのソロのみか、リトバス関連でアリスマジックを予定しています。
リクエストもできる範囲でお答えしたいのでブログのコメントの方に書き込んでください。

弾き方に関してのアドバイスですが、最後のソロは見かけによらず難しくないです。エコノミーピッキングを意識してやれば意外に簡単にできます。

模範演奏は環境の問題などにより無理でした。
音源だけであればこんどうpするかもしれません。

それではブログのほうもよろしくお願いします。

エクスタシー歌詞

ひとりが辛いからふたつの手をつないだ
ふたりじゃ寂しいから輪になって手をつないだ
きっとそれが幾千の力にもなりどんな夢も断てる気がするんだ

高く飛べ高く空へ
高く蹴れ高く声を上げ
いつか挫けたその日の向こうまで
きみの声忘れない涙も忘れない
これから始まる希望という名の未来を

その足は歩き出す やがて来る過酷も

みんなで作った輪は大きくなりすぎて
時には君がどこにいるのかもわからなくなって
そっと誰かがくれた優しい言葉が君のものだと教えてくれたんだ

腕をかき風を切れ
前を向き涙が滲むほどに真っ直ぐこの空を駆け抜けろ
きみもひとり 僕もひとり
みんなが孤独でいるんだ この輪の中でもう気づかないうちに
その足は震えだす 小さな過酷にも

僕ら皆同じ夢を見てた
過ぎ去る1ページの
ここからは一冊しか持っていけないよ
それでよかったのかい?

胸には強さを
気高き強さを
頬には涙を
一滴の涙を

高く飛べ高く空へ
高く蹴れ高く声を上げ
いつか挫けたその日の向こうまで
きみの声忘れない涙も忘れない
これから始まる希望という名の未来を

その足は歩き出す やがて来る過酷も
乗り越えてくれるよ 信じさせてくれるよ

2008年07月13日

第110回「強者の隠し事」

 〜ゲーセンにて
 「さて、メルブラでもやるかな」
 「お前はその手のゲームはどのくらいできるのか?」
 「さあ、コンシューマバージョンでは結構極めてるよ大会でも何度か優勝した程度」
 「それは相当なやり手ってことじゃねーか?」
 「そうかな、何回かやれば巧くなるよ」
 「いや、それ巧いとかそういうレベルじゃないと思うぞ」
 「じゃあさっそく……」
 「――……2ラウンド全て、かなりの大差をつけて圧勝してたな」
 「そりゃあ相手が弱かったんじゃないの?」
 「……とりあえず、勝負してくれ」
 「いいよ――」
 「――……さっきの人とは比べ物にならないほどの超圧勝ってとこか?」
 「私って強いのかn――」
 「あたりまえだっつの!」

気付いてる人は居ると思いますが
誤爆いたしました……orz

すいません
posted by にのすけ at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月12日

第109話「変質者の弁え」

 「いつになっても変質者は減らないモンだよね」
 「新聞見てると変な事件多いものね」
 「怖いとは思うのだけど、そんなに実感が湧かないっていうのが本当の恐怖かもしれませんね」
 「犯人側も同じなんじゃない?」
 「どういうことだ?」
 「ゲームとかやってて、知らず知らずのうちに現実と幻想がごっちゃになって現実味の湧かないまま誘拐しちゃうとか」
 「最近はそういうのも多そうだしね」
 「で、実際のところどうなの? 前の席の人?」
 「なぜ俺に聞く」
 「いや、しそうな人この中には君しか居ないじゃない」
 「という訳で。――カツ丼用意しようか?」
 「いらねーよ。――ていうかなぜ俺が変質者決定なんだ?」
 「そりゃあー……ねぇ?」
 「え、ええ」
 「そうね」
 「……なんか心の中の何かを捨てられたような気がするんだが……。さすがに現実と幻想がごっちゃになることは無いと思うが……一応理性くらいはどんなオタクでもあるんじゃないか?」
 「その理性を開放する場所を誤って行動にでちゃうと……。以上、容疑者からの発言でした」
 「誰がだ!!」
posted by にのすけ at 21:58| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月06日

第108回「希望的価値」

 「聖地での無差別殺傷事件、今更だが、酷いよなあ」
 「酷いよね、ホコ天もなくなっちゃうし……」
 「……まあ。ところでお前はそのときいたのか?」
 「いやあ、私は乙女ロードの方にいたからさっぱり」
 「ほー」
 「もし現場に居たとしてもなんか生き残るような気がするんだよね、ゲームの影響やらなんやらで」
 「そこまでくると重傷だなとは思うが、あながち人のことが言えないってのが困るよ」
 「きっと宝くじかなんかも同じなんだろうね。当たらないとは思うんだけど当たる確立はゼロじゃないからって思って」
 「そう思うと巧く手の内に乗らされてるなって思うよ」
 「まあ経験してけばそれがどれだけ希望的観測かってわかって来るんだけどね」
 「お前は……」
 「今までどれだけ損したのか……私は人生の負け組みかも……」
 「お前も大変なんだな」
posted by にのすけ at 16:45| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年07月05日

第106回「都合上の線」

 「私ね、格ゲーはある意味ヤンデレゲームだと思うんだよね」
 「なんとなく予想が着く件について」
 「思ってるとおりだよ、たまにどういう成り行きで戦うことになったとか書いて無いじゃん、それに割と仲の良いキャラクターが最初のうちに曖昧な理由で殺しあったりするじゃん」
 「……殺しあうとか、あながち間違えじゃ無いのかもしれんが、確かに良くわからないところもあるよな」
 「まあゲームの都合上なんだけどね」
posted by にのすけ at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月29日

第107回「考えても見てください」

 「んで、結局どのへんが違うんだ?」
 「今までその手のゲームはある程度あったんだけどね、――もちろんBL以外だよ――やっぱり、東方のパーソナルはダメっていうのとおなじように、区別しなきゃいけないんだよ」
 「俺的にメジャーになってむしろいいと思うんだが」
 「――考えても見てください。我々がやっているようなBLブランドがいきなり男性向けのギャルゲ出してきたら買う?」
 「誰がうまいこと言えと……、たしかに買う気は失せるかもしれないな」
 「そんなもんだよ」
posted by にのすけ at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月26日

第106話「シリーズの分岐点」

 「女子向けエロゲーが某超有名ブランドから出たが、あれってどうなんだ」
 「ああー、その話はしないで頂けると……」
 「ショックでも受けたのか」
 「……」
 「何の話?」
 「乙女ゲームの発売に関しての議論」
 「で、なんでこの子は落ち込んでるわけ?」
 「常人には判らないんだよ、どうせ」
 「気になるわね」
 「その乙女ゲームが」
 「ち、ちがうわよ!いつもなら喜ぶと思うんだけど」
 「だってそんなものを出しちゃうなんて思っても無かったからね、ショックと言うか、裏切られた気分だよ」
 「でも少女コミックとは違うのか?」
 「違うんだよ、やっぱ今までどおりにシリーズ化していってくれればよかったんだけどね……スリーとか」
 「お前はよくわからんな」
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2008年06月22日

第105回「張り合い」

 「で、なんだ?お前はギャルゲとエロゲの違いを説くのか?」
 「いやいや、違いはわかってると思うから、少し高レベルなことを」
 「一般人にとってはどれだけくだらないことなんだろうな」
 「まあ、最近は18禁要素が盛り込まれていてもFATEとかAIRとかギャルゲって呼ばれてるあたりだけど、どう思う?」
 「いや、そんな聞かれても困る」
 「私は18禁は全てエロゲーに分類しちゃっていいと思うんだよね」
 「……そうは思えないな」
 「ふふ、言ってみ言ってみ」
 「なんかまんまと手の内に乗らされている気がするが……まあいい。例えどんな良作であろうと俺はエロゲーっていうと安っぽいなんというか軽い言葉になっちまうような気がするんだ、あれでな、美少女って言うより容姿端麗な少女って言ったほうが聞こえがいいだろ?」
 「ふむふむ。私の意見も基本的にはそれと同じだよ」
 「?」
 「私は良作=売れるって思ってるから、売れればPS版やNON18禁版っていうのが後々発売されるじゃん? 特例で後から18禁ってのもあるけど。きっとPSラインセンスにも相当お金がかかっちゃってるから、その分売れるっていう確信を得てるんだよ」
 「それでエロゲはエロゲか……、確かに思いつく良作中の良作はほとんどがNON18禁化してるな」
 「そう、つまりギャルゲーっていうレベルを高めようっていうわけ」
 「ほお、納得だな」
 「私と張り合えるくらいのレベルまで育ってるなんて、関心関心」
 「まあ、なんだ、これは俺にも落ち度があるから言わんが、お前ほどじゃないぞ」
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さて、105回。

最近は時間に余裕が無くなってき……頭にも余裕がなくなってきて……ネタにm(ry

知り合いとバンド組んでたりしてるのですが、
青春っぽい雰囲気や熱血な情熱なんて無縁のバンドです
いや、曲決めの時のアニソン討論会に関してはドラマ並に熱血な討論会になっていますがw

なんせオタク、腐女子の集まりでして、それはそれはもう暑苦しい――
――のような状況で(悲惨なため一部省略)

さてさて、これからもよろしくお願いします
posted by にのすけ at 21:04| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月21日

第104話「違いと互い」

 「私、思ったんだけどさ? 納豆ってネバネバが無ければ日本にここまで普及しなかったんじゃないのかな」
 「……それは納豆じゃないんじゃないか?」
 「……まあ、それは置いといて、もしただの味のついた大豆だったら需要がなくなっちゃうんじゃないかな?」
 「つまり煮豆だろ?あるじゃねーか」
 「やっぱそうだよね? それと同じでさあ、ギャルゲとエロゲの違いもんじゃないかな?」
 「久しぶりに普通のネタ引っ張ってくるから期待してたんだが、やっぱそっちか」
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2008年06月16日

第103回「メジャーとマイナーの違い」

 「最近はマイナーなオマージュがあって焦るよ」
 「お前にとってのマイナーは俺たちにとってどんだけマイナーなんだよ」
 「でも最近多くない? 電車の匂いがくさいから『くさいよね〜』っていってるなんて思いもしなかったよ」
 「おまえがそこまで手を着けてるなんて思いもしなかったよ」
 「使ってる銃とかにもなんか伏線があったりね」
 「ほんとお前は、なんにでも手を着けるんだな。関心と言うか……」
 「いやー銃とかならMGSとかやってるうちに知識つくんじゃない? ちなみに朱鷺戸沙耶の銃はコンバットコマンダーだよ」
 「確かに多少はつくが……、後半とか、それも伏線まで考えられるお前は異常だよ」
 「でもその手のものって、一回嵌ったらじっくりググッちゃは無い?」
 「ないない。100%ない」
 「鉄道だってまとめサイト見れば一発で覚えられちゃうよ?」
 「……どうにかしてこの意欲を有効的に使えないのか? ちょっとした天才が出来上がるぞ?」
 「兼愛無私がモットーだよ?」
 「……天才なんて程遠いな」
posted by にのすけ at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月15日

第102話「重度の行く末」

 「詳細の詳ってどう書くんだっけ?」
 「あんたは……なんでそんな簡単な字がかけないのよ」
 「糸偏に羊だったか? ネットでよく使われてるだろ」
 「いやー。ネットに依存してるからこそ書けないんだよ」
 「相当重症じゃない?」
 「お前たまに憂鬱の鬱の字とか朱鷺とか余裕ですらすらかけてたじゃねーか」
 「いや、それもう何でか判ってんじゃないの?」
 「まあ、あんたはその手の物語の登場人物の名前とか全部覚えてそうだしね」
 「よくわかってるね、照れちゃうよ」
 「……誰も照れさせるようなこと言ってないんだが。というか恥じれ」
 「ほこりに思うよ」
 「おい……」
posted by にのすけ at 23:12| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月14日

第101回「刺激がほしけりゃ妄想せよ」

 「はあーあ」
 「どうした」
 「最近はろくなゲームないよ」
 「ゲームってのは……どういうのだ?」
 「御妄想のとおりだとおもうけど?」
 「何が妄想だ」
 「それより昔はいくらどろどろなストーリーになっても終わりよければ全て良しってかんじで、それはそれでよかったんだけどね、最近は何の起伏もなしに終わりかも明らかにないものとかが増えてるんだよ」
 「……つまり起承転結がなってない、と?」
 「いやいや、起承転結に関しては十分たりるに値するんだけどね、起伏が無いんだよ、もっと刺激的な事件が欲しいのさ」
 「……どっかの神様みたいなこと言うんだな」
 「それは置いといて、とにかく起伏が必要なんだよ」
 「いや、俺に講義されても困ると言うものだ」
 「ん〜、クラッシャーとして判らないかな? なんかない?」
 「不思議探してきて?」
 「なっ、知らないわよ!」
 「さて、この会話で何回オマージュ使ったかな?」
 「使ってたのかよ!?」
posted by にのすけ at 21:39| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月07日

「ファンタジー症候群 - 第六章 エンドプロローグ」

 何回目だろうか、また時間遡行なのだろうか。さっきまで何をしていたのだろうか。
 などと、頭の中からふつふつと疑問が湧いてきた。
 起きたら全てが解決しているなんて落ちがあったら良いのになと思う。こんなけったいなことに盛大な落ちよりも早々の落ちのほうを期待する俺は賢明なのか、それともせっかちなだけなのだろうか。

 意識が戻った、と認識するのに約十秒かかり、さらに十秒後、自分のおかれている状況を認識することができた。
 どうやら俺は図書館に居るようである。机に突っ伏していた。恐る恐る視界を上に上げると、目の前には結衣がいる。心配そうにこちらいやっている。
 どうやらニ時間後まで時間遡行してきたようである。
「起きた?」
「ああ」
 と答え、さっきまでの情景を思い出し、右肩に左手を当てた。なんともない。
 そういえば階段の踊り場で倒れて、結衣に介抱されたときに右肩に違和感があったことを思い出す。あの違和感の正体はこれか。

 さっきまで起こっていたことを思い出す。
 陽菜は階段に俺を呼び出し、そこで俺が階段から落ちた。そして、右肩に衝撃がきて、次に左肩に陽菜が落ちてきた衝撃が来るはずだったのがなにもなく、それを見るとそこには誰も居ず、あっけらかんとしたのだ。
 その後すぐに気を失ってしまったため確認することもできなかった。が、確認しようともあのときに陽菜が消えていたのはほぼ確定であろう。
 陽菜が俺の手を握っていたぬくもりが突如として消えたのだから。あのままいけば某アニメのハプニングっぽくなっていたはずである。いや、望んでいたわけではないが。

「どこから来た?」
 目の前の結衣が聞いてくる。
「ああ、えーっと今五時だとすれば二時間前からだ」
「へぇ……ってことは異世界遡行の案は潰れたのね」
 確かに異世界との遡行を考えると今回は辻褄が合わなくなる。
 そして、さっきまでの奇怪中の奇怪とも言えよう二時間について全て話した。

 んで話し終わった今。
「階段に行ったときには、陽菜。さっぱり居なかったわよ?」
 そこが俺にもわからないところでもある。
「でもそうなるとそのときの陽菜は何処にいったのかしら」
「俺と同じく時間移動やらなんやらをしたのかもしれないな」
 陽菜までもが時間遡行するとなるとそれはかなりややこしいことになっているように思う。いや、すでにややこしいことは規定事項なのだが。
「でもそうよね、だから何処を探しても居なかったのかしら」
「いや、ちょっとまて、じゃあ三時過ぎに来たメールはどうなる。三時に異世界なり異時間に位相転移してるんだったらメールは来るはずじゃなかったんじゃないのか?」 
「そうよね……。じゃあその後またこの時間帯に陽菜は戻って来たんじゃないの? そうすれば納得がいくわよ」
 まあたしかにそうではあるとは言えるが、陽菜も同様そんな現象になってるとしたらどうなるのだろう。
「ものすごく面倒くさいことになってしまってるってことだよな」
「そうね。この時間帯に陽菜が居れば良いんだけれど」
 そういえば五時になってからはまだ陽菜に連絡してないんじゃないか?もし俺と同じタイミングに転移してるのであればもしかしたらこの時間帯に戻ってきているということも考えられる。
「そうね、試してみましょうかしら」
 と言って結衣はポケットから携帯電話を取り出して操作をする。――おい、図書館は携帯使用禁止じゃねーのか。
「廊下で堂々と使って先生に取り上げられるよりかはましでしょ?」
「いや、それもどうかと思うんだが……」
 まあ仕方ないか。
 ――結衣は携帯を手に取り少しの動作をして携帯を耳に当てた。待つとも言えぬ時間をとって結衣は反応した。
「あ、陽菜?」
 お、どうやら通じたようである。今まで何をしていたのか……。
「え? 今? ……っていうかどこかわかってんの? …………全知全能って、なにがよ。……してないわよぉ! ……そう……え? ――」
 ――ばたんっ!
 もちろんこの効果音は俺の心境効果でもないし、ましてや結衣の発した擬音でもない。
「やっほー!真打ち登場〜」
 となどこかで聞いたことある台詞を振りまきながらご登場なさったのはどこぞの陽菜とやらであった。
 ――いやあ、結衣の電話の内容を聞いてれば何となく推測はできたさ。
「あんたね〜、どこいってたのよっ」
 と結衣、さすがにいきなりの登場に驚いていたがすぐに切り替え陽菜への尋問モードに入ったようだ。
「っていうか大声だすな」
「図書館で携帯使ってるヒトに言われると説得力ないね」
 と言われ、結衣は慌てて携帯をポケットに突っ込む。
「とりあえず教えてくれない? どういう風になってるのか」
「ああ、さっきまで結構さがしてたんだぜ?」
 いきなりのご登場に早くも聞きたくなることは山々なのだが、説教も忘れてはまた陽菜は同じことをやらかしかねない。
「まあ、それよりも聞きたいことあるんじゃないの?」
 こうやってさっそく説教逃れをしようとする。――まあ今回は聞き出さなければいけないことがたくさんある故に後回しにしてもいいであろう。
「とりあえずお前はいままで何処で何してたんだ」
「まあ時間遡行とか色々としてきましたよ」
 結衣と俺は沈黙する。――理由は明白だ。
『――は!?』
 例のごとくお約束のようにはもる。
 が、そんなこと考えている意味はない。いや、考えられていると言うことは割と想定内の範疇だったのかもしれない。
「ちょっと、なによ、あんたも時間遡行したってこと?」
 結衣は動揺したようである。
「また話がややこしくなってるのか?」
「ややこしくなったけど、まあ順を追って説明するよ」

「最初に聞いておくが、それは解決してるのか」
 俺は今一番気になってることを聞いた。いい返答は期待できないが、聞くだけ聞いてみる。
「えーとね」と前置きしてしばらく間を置いてから、「微妙かな。人によってはこれで解決したって思う人もいるし、意図的に今まであったことを否定しようとする人もいるよ」
 前者はいい。単純に解決したということだ。しかし後者。――これは後味の良くない解決ということだ。陽菜のニュアンスだと解決しているには解決しているが、バットエンドのような、納得はできるが良い展開ではないということだ。
 つまり俺に拒否権があることを遠まわしに伝えているように聞こえる。……つまり俺には現実逃避――いや、この場合は幻想逃避とでもいうのかもしれない。――するか、しないかを選べと言うことだ。
 俺は現実逃避する気はさらさら無い。ここまで俺を悩ませといてそんなもの無かったので忘れてください――なんて言われてそう簡単に身を引けるほど手軽ではない。例えどれほど後味が悪いものだとしても俺はその現実を受け入れる自信がある。
 だから今から言うことは保険だ。保険として陽菜に聞くことにした。
「お前はどっちだ? どう思っている?」
「私は前者だよ。これは一つの物語として成り立つものだよ」
 これで俺は確信を得ることができた。これから全て陽菜に語ってもらおうと思う。

「まずね、物語は大まかに分けて二種類に分かれてると思うのさ。一つはコメディー。俗にいうTRUE ENDやHAPPY END、喜劇などと呼ばれる奴だね。最近の作品はほとんどがこれに分類されているよね。で、もう一つはトラジェディー。BAD ENDやDEAD END、悲劇って呼ばれるやつだね。フラグを間違えたりするとこのルートに出ちゃうよね」
 いきなり何をいいだすのだろうか、この人は。
 結衣も同じことを思ってるようで首をかしげている。
「でもね、それはあくまで物語。物語の中の世界の話なんだよ」
 ……それは判る。現実は悲劇にしろ喜劇にしろ、そんな巧い話にならない。これは俺が子供の頃から思っていたことだ。
「じゃあ、物語の上に来る分類はなにかわかる? これもまた二つに分かれるよ」
 俺は思いのままのことを言った。
「物語と――現実か?」
「……あれ、答えられないことを想定してたんだけど……」
 思わず陽菜の困惑顔に笑ってしまった。
「それが現実だな」
「……まさにそうだね」
「じゃあちょっとまってよ、ノンフィクションとかはどうなの?」
 昔、少しばかりませたガキだったころの記憶を思い出す。――関係ないが、子供の頃あれほどませて冷めたガキだったせいで今その反動のためこんなガキっぽい高校生になってしまったのかもしれない。
「物語イコール幻想ってのはちがうぞ、物語になる条件ってゆーのは話になるかと話にならないかの違いだと思うんだ」
「あーん、もうっ、役割取らないでよ!」
 陽菜を華麗にスルーして話を続けた。
「ノンフィクションってーのはあれだ、何か異常なことや特殊なことがあったから書いてるんだ、もしそれが何の変哲も無い日常風景だったら特筆する意味が無いだろ」
「ああ、なるほどね、なんとなくわかったわ。でも何の関係があるの? 今の事件と」
 俺も思う、この事件となにが関係しているのかと。
「でね、現実っていう物語はファンタジーでも有効になる場合があるんだよ。たとえば今怒ってる事件。これは傍からみて、当事者からでもファンタジーって判るよね、でもいくら魔法使いがいたって、いくら宇宙人がいたって、物語にはならない場合があるんだよ」
 ……ファンタジーが物語じゃない? どういうことだ?
「最初に私はいったよね、話になるか、ならないかが現実と幻想の隔てだとするよ。じゃあ超能力者がいました、でもその能力を自覚することも、発現させることも無く超能力者はこの世を去っていきました。もしこれに次ぐ物語が無かったらそれはさっぱり話しにならないよね」
 ……なるほど。
 そうだな、ニュース番組で日常を取り上げたってしょうがない。どんな非日常の出来事でもそれが日常的に見えてしまえば、それは特殊でもなんでもなく普遍として捕らえられてしまうのだ。
「だからそれが何の関係があるのよ」
「じゃあね、今から私の経緯を話すよ。雄二にとっては先刻、階段から落ちてここに来たよね。そのとき私も一緒に落ちていたはずだけど、そのとき何か感じなかった?」
「お前が目の前から消えてたな」
「うん。多分何かの衝撃で時空移動をしたんだと思う。気が付いたら自分の部屋にいたんだよ、ほんと、いつの間に」
 階段に落ちてお前を見失ったのは決して幻覚じゃなかったようだ。
「その時の時間が四時五五分位。制服で自分のポケットには携帯と朝、自分の下駄箱にあった手紙と雄二が持ってた手紙」
「え?あれ、何でお前が持ってるんだ?」
 確かそれは俺が持っていたはずの手紙だ。思いポケットを探る。――無い。
「きっと都合がいいようになるために交換したんじゃないの?」
 都合って……誰のだよ。
「さあ?世界の創造主とか?」
「まじめに聞いてるんだけど」
 と結衣、
「あれ?まじめに答えたつもりなんだけど」
 何を言うか。さっぱりまじめに聞こえない。
「まあそれは置いといて、雄二が言ってたように私は早朝にわざわざ学校まで出向いてその紙を私と雄二の下駄箱にほおりこんで雄二に会って笑って見送ったんだよ?」
 これは俺も体験した朝のことだろう。
「ちょっとまて、じゃあお前はどうした。俺が倒れたときにお前は倒れなかったのか?
「うん。雄二の見たとおりだよ」
 ……あの笑っていたすがたは規定事項をなぞっただけだったのか……。一人で考え込んでいた俺が馬鹿だった。
「じゃあその後はどうしたんだ」
「携帯を下駄箱にほおりこんで町をぶらぶらしてたよ。宝くじでなにか――」
「まて、なんだ?下駄箱に携帯をほおりこんだって――」
「ああ、私が貰った手紙には携帯電話を屋上に行ったら落とせって書いてあったから言うとおりに雄二と踊り場に行ったとき落としたんだよ」
「その手紙は結局誰が書いたの?」
「それがわかればこの事件の手を引いた人がわかるも同然だし、時間軸的には誰も書いてないことになってるんだよ」
 誰も書いていない――というのはその手紙は時間軸をループしつづけているということだ。しかしそれでは――
「じゃあその紙はループするごとに風化していくんじゃないか?」
「……そうだね。三つくらい仮定ができるよ。これは根本的な世界の概念にも関係するよ。それは私達は比較的新しい紙だったけど、もっと別の世界軸だったらものすごく古いやつだったかもしれないって言う有限世界説」
 ここからは陽菜の言ったことを割愛させて説明しよう。

 つまり有限な世界だ。手紙をループし続ける……というよりは異世界に渡りつづけるといったほうがいいだろう。もし異世界にいたらとても古い紙が届いたのかもしれない。しかしいつかは風化してなくなってしまう。これは避けられないことだ。つまり異世界が進むごとに矛盾が生じていくことになる。
 次に考えられるのは単独世界説。文字通り世界は一直線で異世界どうしは決して干渉しあわない説だ。これはある意味一番有力かもしれない。つまり、手紙が時間軸を遡る際に元の時間軸にあった分子に戻るということだ。
 最後に手紙の紙質が一生風化しないものという、これはこれで非現実的なものである。
 現段階でいえることはさっぱり無い。しいて言うなれば膠着状態。ここは陽菜にといてもらわなければならないであろう。
「で、話は戻るけど、宝くじとかみたりして、なんかお金儲けする方法ないかなーとか見てたりした」
「……いや、そんなのどうでもいい、とにかくこの事件に関係している話だけしてくれ」
「でも不思議だよね。宝くじとかも、だってさ――」
『話を逸らすな!』
 またも陽菜の外れたトークに流されかける俺と結衣だったが。いい加減始めてもらわないと困る。
「なによう、二人して。――それでね、ずーと暇をつぶしてたわけ、それでさっきここに来た」
 ……それだけ?
「で、結論とやらはどうなのか?」
「それが結論だよ」
 呆気らかん。何を言いやがる。
 それは結論じゃなくて行動だ。
「だってそれが現実。現実が答えだよ」
 意味が分からない。
「この現実からは答えを導き出すことはできないけど、答えに近い仮定ならいくらでも出すことができるよ」
「なんだ、行ってみろ」
「時間遡行っていうのは矛盾点だらけだよね。例えば原因と結果の関係がなくなる、とか。きっと事件って言うのは原因から始まって結果に終わるの。たとえば交通事故だってよそ見してたっていう原因があってこそ事故が起こったていうことになるでしょ?でもこの場合は違うの。原因と原因の関係。結果と結果の関係。時間遡行したから時間遡行した。手紙が下駄箱にはいってたから手紙が下駄箱に入ってた。全部そう。一生ループして結果は結果に、原因は原因にたどりつく。それが時間遡行だと思うんだよ」
 俺は考えていた。
 こじつけだ。俺はそう思いたかった。だが、否めない。陽菜が言うのは論理的帰結。なにも間違っていない、エンドレスループの世界。しかしそれは自分を一生思考ループの中に閉じ込める……原因の原因を求めるために原因を求める――と言うことになる。それを避けるには――現実逃避だけだ。
「そう。現実逃避こそ最良の打開策だよ、時間遡行をしたから時間遡行をした。じゃあ何で時間遡行をした?それは時間遡行をしたから、っていうループにずっと飲み込まれることになるんだよ」
「じゃあ、せめて、――」
 と、言葉が途切れる。原因はなんだ? 手紙が下駄箱に入っていたせいか? なぜ俺は時間移動をしていたのか? だれにさせられていたのか? 俺はただ世界の辻褄をあわせるためだけに時間遡行してしまったのだろうか。
「――それが、答えだよ、結論じゃなくて。現実はいつでも悲惨な結果を呼ぶよ」 
「それで、最初の話か。現実と物語っていう」
「そうだね。それでね多分これで終わりだと思うんだよね、時間遡行は」
 時計を見る。すでに五時五十分頃になっている。
 これでなにもなかったら本当に話にならない現実として終わってしまう。
 今なら、非現実でも何でも来てしまえと言える。心の中で嘆いている。
「何でお前は納得することができるんだ?」
「あのね?最初に言ったとおり私はこれを物語だと思ってるんだよ。これはこれで物語る物語。ループ物語とでも名づけられる代物だよ」
 そこで言葉を区切り、飛び切りの笑顔でこう言った。
「雄二といると、これはただの始まりだっ、て、思うんだよ」

 それは、始まり。これから何があるかもさっぱり判らない世界。日常を続けられる可能性だって未知数だが、非現実的なことが起こる可能性だって、等しく未知数だ。
 確かに、ここまで非現実的なことがあれば、仕向けてる奴だっていつかは姿を表すかもしれない。
 ここから一気に展開が起こるなんて、現実でも、幻想でも、常識だ。
 無縁だった非日常を現実としてみることなんてとても簡単なことなんだろうと思う。いや、そう思わなくては人生を損してしまうだろう。俺は、これからを楽しく生きようと思う。

 時計を見ると、すでに六時五五分になっていた。
 
 


   エンド・プロローグ


 翌日。
 ホントに色々あったせいか、昨日の記憶を振り返れば小学生時代に浸ってるような感覚になってしまうほど離れた存在になっていた。
 相当の疲労のせいか、また目覚ましは役割を果たさず、二度寝の最中に親にたたき起こされたが、目覚めはいつもより新鮮に感じられることができた。
 これもあの事件のお陰かとでも思いやら。

 んで朝。
 俺は昨日のこともとうに忘れはて、――
 
 ――またもや非、日常に呆れる羽目になってしまった。

 はぁ、俺は何を変態を誘き寄せる力があるのかぁ…?


テスト明け、さっそく更新です。

ようやくファンタジー症候郡が完結しました。
改行がおかしくなっているものがあるのでテキストデータで公開します。

春短編.txt


ようやく本格始動して参りました。
ええ、いままでのはプロローグでしかなかったのです。

ここからいつも別の話へとつなげていき、徐々に謎が解かれていく物語を作っていきたいと思います、
もう電車の中やトイレの中で日夜妄s――プロットを組み上げてしまっているので
もう書きたいことがたくさんあります

これからもオタク日常茶飯事をよろしくお願いします!
タグ:超展開 現実
posted by にのすけ at 20:41| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月25日

「ファンタジー症候群 - 第五章」

 意識が戻っていく際になにか不気味な予感が過ぎった。そういえばさっきも同じような感覚に襲われたことを思い出す。
 この自分とは思えない他人の意識のような感覚は時間遡行をする際の仕様になっているのだろうか。
「雄二、大丈夫?」
 陽菜の声だ。トーンが低いような気がする。
 声の出し方を忘れていたかのような時間を空け、返答する。
「ああ、どうにか」
 視界が冴えるように調節してみる。
 だんだん意識が鮮明になっていき、保健室の前だと判った。最後にここに着たのがもう一週間も前のように感じられる。
 そして状況を見る。保健室の前に倒れている俺と、頭と肩を支えている陽菜。まるでアニメのワンシーンのようだ。普通はこの後『Wa

WaWa忘○物〜♪』とか言いながら保健室の入り口から誰かが出てくるところだが。まさかそんなこともある訳はなく、ただ居尽くした


「え〜と、――」
 聞きなれた声、陽菜のものだ。久しぶりに聞いたな、と思い、二時間しか経っていないんだなとも思う。
「こういうときは眼鏡の再構成を忘れたとか言っとくべきだよ」
「意味が分からん」
 妙に緊張していた。これからやるべきことが分かっていたが、頭がこんがらがって結果が出てこなかったというべきか。
 誰かに見られる前にここから退避するのが妥当だと感じ、陽菜から飛びのくがごとく起き上がる。
 結衣で慣れたのか、割とすぐに行動できた。
「えーと、い、今はいつだ?」
 今日このせりふを吐くのは何回目だろうか。
「今は昼休みが終わる少し前で一時五十八分くらいかな?」
「え?」
「え?じゃなくって、で、どこからきたの?」
 どうやら取り乱してるのは俺だけのようだ。陽菜は真剣な目つきで俺を見つめている。
 そして思い出す、いつからここにきたのかを
「ああ、今から四時間後で、六時か」
「じゃあここが何処だか分かる?」
「昼に倒れたところじゃないか?」
「残念ながら違うよ、ここは異世界。だからあなたは私の知ってる雄二じゃない」
 なにを言ってるのだろうか、この人は。呆れながら思う。
 しかしこの状況だ。こいつが異世界の陽菜でもありえないことは無い。
「は?じゃあお前は異世界の人なのか?」
「私から見ればあなたが異世界人。まあ正確に人とはいえないよ、対人類有機性ヒューマノイドインターフェイス。正式名所はこう、界録

情報操作兼記録用アストロイドインターフェイス、対人類容姿可変式網膜投影機。事務的に名前を付けるとこんな感じ。私のことは陽菜で
いいけど実際は媒介を持たない情報思念体の塊。今ここに見せているのはすべてアナログ的にあなたの網膜に情報を投影しているもの」
 ――――なんだ?意味が分からない。ここにいる俺は異世界人でこいつは異世界の陽菜という存在でもなければ人間ですらない?ヒュー
マノイドインターフェイス? 意味が分からない。こいつもアニメの見すぎではないだろうか、いや、実際見すぎだ。これは陽菜のまたし

もおふざけなのだろうか。いや、そうだろう。そうとしか思えない。
「細かいことはどうでもいい。お前がなんかしらんがそんなのってのは仮定とする。分かってないが分かったということにしとく。証拠か

なんか見せてもらえれば信じる。なにか見せてくれ」
「今は上からすべてを規制させられてる。あまりあなたを触発しないようにと。でも、そんな急に改変しないのでもいいのであれば、この

ままこの世界を演じつづけることができるし、もし納得のできるように説明してほしいのであれば、情報量にして一・ニ年分かけて説明す
るよ、納得するまで。ただすべてを納得するとこの世界についてもう何も信じることができなくなるかもしれない。今まであなたを騙しつ
づけてきた世界が私たちだから。もちろんさっきまでの世界に戻ることもできるし、何事もなかったように記憶を改変してこの世界で騙し

つづけていくことができる。ただそうすると向こうの世界に干渉しちゃうからかなり面倒くさいんだよ」
 さっきから陽菜は饒舌に話してくる。まるで常識を語ってるかのように。これが陽菜の演技なのだとは思えない。この出来事は本物だろ

うか。頬をつまんで、あ、夢だった。なんて落ちにはなるわけも無いし、出来事にはある程度の限度ということもある。
 いや、そんなことはどうでもいい。いずれどうでもよくなくなるが先に順序を経てて聞かなくてはならないことがある。
「さっきから意味が分からんこと聞いてくるが、何で俺が巻き込まれてるんだ」
「たまたま向こうの世界のイレギュラー因子が雄二という媒介を解して他世界に干渉してしまった。それだけだよ」
 なんだこの気安さは。俺はこのせいでどんだけ懸案を抱えていたか分かってるのか。
「意味がわからねーよ、わかりやすく説明しろ」
 陽菜は何かを考え込むように前置きをし、何かを言い出すと思ったら口を閉じて人間のように考えこんだ。いや、俺には人間にしか見え

ないが。そして陽菜は恐るべき破壊力を持って沈黙を打ち破った。
「……ごめん、うそ。まさかほんとに信じるとは思ってなかった。ほんと、ごめん」

 は?

「……怒らないからいってごらん?……な?何処から何処までうそなんだ?」
 今まで一時的でも信じていた俺はなんだったんだ。いくら非現実がありだからってこれは無いことぐらい分かっていたであろう。
「ここは多分昼に雄二が倒れた世界だと思う、その辺からなにもかも」
 罰が悪そうに舌をちょこんと出しているが、容赦なくこめかみあたりにグリグリと双方から責める。
「…………」
 理解に多少の時間を要した。つまりは、嘘、と。
「はあぁぁぁ――――――……」
 あまりにも盛大な溜息に自分を感嘆したくなる位だった。今までの中でかなり有効的な溜息だったかもしれない。俺の脳の数少ない空き

メモリに登録しておこう。
 ――つまりそんなくだらないことまで考えるほど呆れた。
「お前な?――」
 陽菜の顔を見ると再び溜息をつきそうになる。ほんとうに回りくどいことをする奴だ。
「――さらに懸案事項を抱えさせないでくれ、すでに俺の精神的疲労はピークに達してんだ」
「ごめんごめん、やっぱ前の席の人はいじるの楽しいから」
 はあぁ――、今度はふざけないよう願いたいものだ。
「じゃあ聞こう、つまり俺が倒れた後の世界なんだよな?」
「分からないよ、向こうの世界でも同じようなことが起きてたかもしれないし」
 まあ肯定と受け取る。
「……まあいい。お前何か企んでないか」
「なにも、昼休みに話したことと変わりないよ」
 そうか、こいつにとっては昼休みはすぐさっきのことだろう
「こっちから聞くけど、向こうで――っていうかこれからって言うべきかな?何かあった?」
 はて、手紙のことは今の階段で言うべきだろうか。いや、言ってしまうとなにか重大な矛盾を犯してしまうかもしれない。その手の知識

にはそれほど疎くは無く、時間遡行系の本やゲームなどの話ではその矛盾によってかなりめんどくさくなるのがオチというものが多い。い

や、疎くないという程度だし。第一、二次元と現実をごっちゃにするのは人間のごみになるのと道義だ。いや、なんかすまん。
 しかしまあ何も言わないのもおかしな事で、せめて結衣に事をすべて話したことぐらいは言っておいたほうがいいだろう。
「ああ、結衣が協力関係になった」
 FA○E?いいえ、ケフィアです……、じゃなくて、いろいろ情景が被ってたんで言ってみた。
「どういうこと?」
「向こうの時間のその場に結衣がいたんだ。それでその頃にはすでにお前からのメールですべて伝えられてたみたいだな」
 目を瞑って陽菜は思案顔になる。
「つまり私から協力関係になってるってこと?」
「ああ、ついでに琴音さんにも事のすべてを話したら一番早く――って時間軸的には違うかもしれんが、相談したら時間移動の仮定を立て

てくれた」
「それも私?」
「いや、結衣と相談して決めたことだ」
「ふーん」
 陽菜が頷くと同時、チャイムがなった。
「授業始まるよ?」
「あ、そういや5時限目は授業に出てたっていってたな」
「じゃあその規定事項に逆らって矛盾を作ってみる?」
「事をややこしくしないでくれ、それと結衣にはまだこの時間帯では教えてないからな?」
「了解」
 一段落つくと、教室に向かって歩き始めた。

 何かが変わるということも無く相変わらず後ろの席で陽菜は眠っており、結衣や琴音さんも何事も無いように……いや、実際に何事も無

いんだろうが、いつも道理の授業であった。
 陽菜の居眠り癖はこの新学期になっても注意する教師陣は出てこず、なぜか良いとは言えないがそれなりの成績を保つ奇怪な生徒として

受け入れられているようであった。
 もしかしたら俺は授業をまじめに聞いているがさっぱり成績の上がらない根から落ちこぼれタイプとして受け入れられているのかもしれ

ない。いや、ないと信じたいが。
 そして、授業が終わると同時陽菜は俺を引っ張り廊下へと出て、こう言った。
「雄二が保健室前で倒れて起きたときどこにいた?」
 やはりその問いがくるか。手紙のことを言うわけには行かないが、ここは正直に言うべきと判断した。
「新教育棟の屋上前の階段だが」
「ふむ、やっぱり」
「やっぱり?」
 なんだ?宛でもあるのか?
「いやー、今は言うわけにはいかないけどまたこれもすぐに分かることだから気にしないでいいよ?」
「は?……いや、言ってもらわないと困る」
 こんなに引きのある物語があったら俺は絶対買わないね、別段せっかちというつもりでもなかったが俺はいがいとせかしいのかもしれな

い。
「う〜ん、まあそれはスルーって方針で。ひとつ教えてほしいんだけど、前の席の人も私と同じくなにか秘密にしてることあるよね?」
 昼休みの事を思い出す。そういえばそんなことを言っていた。しかし特に知らなくても大丈夫だと言っていたが。
「まあスルーは何を言っても寝返りしそうに無いし。ひとつな。それ以外は無いつもりだが」
「じゃあ聞くけど、向こうの時間帯私は何処にいた?」
 さっきまでのことを思い出す。陽菜の姿が見当たらず結衣と一緒に探したのではなかったか?
「そういえば居なかったな。なんでしってるんだ?いいかげん吐いてくれ、もったいぶるのも程々にしてくれるとありがたいんだが?」
 意識はしていなかったが、少し緊迫のある口調になってしまったと、後悔する。
「私が推測できたのはここまでだよ、今言えたことがすべて」
「……どういうことだ?」
「私にもまったく分からないんだよ、お手上げ状態」
「……そうか、すまん」
「いやいやいや、巻き込んでくれてることは十分うれしいよ」
 親指を突き立てて元気満点の笑顔で答えてくる。ここまで事を笑って考えてくれる奴が傍に居ると安心する。能天気すぎるのはかなり困

るが。
「そうだな、改めてよろしく頼むよ」
「今ごろだね、私に任せてくれれば万事解決だから!」
「――お前が関ることによってさらに事がややこしくなっていくような気がしてきたよ」
「いやぁ、耳が痛いよ」
「おい!」

 サボることは決定事項のようなもので、意義もさっぱりなしに図書館へ向かった。
 適当な机を選び陽菜と対面するように腰掛ける。
「結衣にメールが届いたんだよね?どういう内容だった?」
 陽菜に言われ、結衣の元に届いた陽菜のメールを思い返す。しかし――
「――あれ、覚えてない?」
 たしかに見たはずだ。確か時刻は14時チョイすぎ、そこまでは覚えているのだが、内容まではニュアンス程度しか覚えていなかった。
「え?じゃあ今ここで考えろって?」
「ああ、そういうことになるんじゃないか?多分適当に文面起こして違ったら俺にも分かると思う。なんか短くて俺を新教から助けろとか

なんとか……」
「――はぁ、前の席の人の頭の悪さには頭を抱えさせられるよ」
「お前にだけは言われたくなかったよ」
 と言いながらも陽菜はさっそく携帯を出してそそくさと何やらを打ち始めた。
「こんなかんじじゃない?」
「早っ!」
 まあなんとなくこんなスキルも持っているだろうなとは思っていたが。
 陽菜から差し出された携帯を見る。そして驚いた。
「全く同じだ。たぶんこの文面だと思う」
「ほんとに?――時間遡行ってつくづく不思議に思うよ」
「同感だな、何かしらの定義でも定めてほしいぜ」
 航時法定義書は何年前の書物だったか?
「そうだよね、過去によって未来が変わるのとか過去でどんなに暴れても未来が変わらないのとかいろんな説があるけど、この場合だとど

ちでもないよ」
「どういことだ?」
「そのまんまだよ、こうやってメールを書いていてもちゃんと同じ文面になってるのに、このメールによって未来が変わったって思うこと

もできる」
 ニュアンス程度の理解はすることができた。
 たしかに不思議なものだ。そりゃあいままで早々おきやしない事だ。不思議じゃないわけ無いだろう。
「アインシュタインもびっくりだね」
「……」
 さあ……。
「それでこのあともう一通私が送るんだよね、何時くらい?」
「三時十分くらいだな、ちょうど俺が起きた五分前あたりだった」
「え?じゃあそのときには私はいたって事?」
「そうなるな、でも学校の何処を探してもいなかったよ」
「そうなんだ……じゃあたぶんどこかには居たんだよね、私」
 陽菜は再び考え込むように手を顎にあてる。
「というかどうしたら消えるんだ?」
「まあ消えないだろうけどね、さっぱりわかんないや」
 お前に解答を求めるなんてとうに諦めてるよ。
「そういえば何処で気を失ったの?」
「新校舎の図書館だが、なんでだ?」
「ん、いや、別に」

 とはいえど今日の朝もらった謎だらけの手紙によれば、三時に指名した場所へ来いとのことであり、どう考えてもこの事件と係わりが無

いということは――好意を抱いてくれる人を持ってない俺には無いと考えられる。
 陽菜に手紙のことについて言ってない今は、どうにか言い訳をして抜けださなくてはならない。
 結局呼び出したのは陽菜だった――ということも考えられるが、差出人がすぐ目の前にいるのにわざわざ呼び出す可能性も考えがたい。

いや、考えてみれば早朝と同じくなにもかも知っている陽菜とも考えられるが、根拠も何も無いのにわざわざ仮定を試す必要性も無い。人
間は目の前にあることだけをさくさくこなしていけばいいだろう。余計な仮定などいらない。行って何かあったらその時に考えればいいさ


 が、しかし。なかなか言い訳が見つからず言い出すことができなかった。一階のトイレに行って裏口から逃げ出すという手もあるが、そ

れでは陽菜に悪いような気がするし、なにしろ後が怖い。もうここは直球で切り出してみるか。
「あ、あのさ、陽菜」
 心なしか声が上擦っていた。
「なぁに?」
「俺、ちょっとこの後少しばかり用事があるんだが、……」
 そこで言葉に詰まる。
「じゃあ少しばかり休憩にする?」
 と、思わぬ口から言葉が出た。
「へ?」
「いや、へ?じゃなくて。休憩にしようって」
 陽菜からその言葉が出るとは思わなかった。陽菜にも何かしら用事があるのだろうか。それとも待ち合わせの予約はやはり陽菜からだっ

たのだろうか。ともあれこれぞと話には乗る。
「ああ、そうだな。三時前までには教室にもどるけど、もしそのときにいなかったらもう時間遡行したって考えてくれ」
 うん、分かった。といって陽菜は自分の教室がある階段を上っていった。
 きっと陽菜はなにかあると察してくれたんだろう。今回ばかりは感謝する勢いだ。
 あとは俺も向かうだけ。現時刻は二時四五分。歩いても間に合う時間だ。陽菜と出くわさないように一階の渡り廊下から新教育棟へと行

くことにした。
 
 時刻は三時五十分。場所は新教育棟四階、階段前。俺が倒れていた踊り場の前であり、呼び出されていた場所でもある。
 もし待ち合わせているのであれば、四階からさらに階段を上った屋上に通じるドアの手前であろう。
 階段を登る。そして――

 そこには先ほどまで一緒に居た陽菜が居た。
 どういうことだろうか。さっき別れて陽菜は2階へ行った。しかしよく考えてみれば二階にも渡り廊下がある。しかしその行き方はかな
りめんどくさい。旧校舎から西校舎――もしくは東だが――は二階と一階にしかない渡り廊下をつたり、その後西校舎の場合は一階のみ、

東校舎の場合は一階と三階に新校舎への渡り廊下が通っている。――つまり相当の遠回りをしなくてはならないことになる。
「遅かったね」
 屋上の扉の前に居る陽菜はその下の踊り場にいる俺を見下すように言う。
「やっぱお前か」
 陽菜の表情は屋上へと開く窓からの西日――というにはまだ早いか――の逆光効果によりはっきりと見えない。しかし口調で分かる。こ

れは楽しんでいる。
「私も前の席の人が来たのに驚いてるんだよ、なんとなく予想してたけど」
 陽菜は何者なのだろうか、事に判らないという演技を続けながら全てを見透かすように気がしてくる。
「なんで呼びだした?用事はなんだ?」
「用事があるからだよ、こっちに来て」
 陽菜は手を拱いている。まるで自分の家に帰って来いと促している親のように。
 拒否する理由も無い、と思い、言われるがまま陽菜のほうへと階段を上がっていく。
 階段を登り終え、陽菜と向き合う形になる。陽菜は俺に注目しており、俺も陽菜に向けば目が合うようになる。なんとなく気恥ずかしく

、目をそらしていた。
「なんだ?」
 俺が聞くと陽菜は懐から紙のようなものをを出す。
「これがね?朝、下駄箱に入ってたの。内容はちょっと……いや、かなり複雑な事。きっとこれが元凶でこういう風に雄二が時間移動をし

ちゃったんだと思う」
 つまり誰かに呼び出されてここに来たということか。複雑な事ってのは少し気になるが、今気にすることではない。先に言うべきことが

ある。
「俺も朝手紙が下駄箱に入ってた、それにここに来いっていうことしか書いてなかったし。その手紙でここにきたんだが、お前じゃないの

か?」
「え?違うよ、というかこっちも雄二が仕向けたんじゃなかったの?」
「俺は知らんが」
 つまり俺たち以外の第三者が俺たちがここに来る様に仕向けたのだろうか。
「誰がやったんだ?」
「これから雄二がやるんじゃない?」
「は?なんでだ?」
「また時間遡行して」
 ああ、なるほど。しかしなんのため?
「朝に見たお前の姿と関係あるんじゃないか?」
 朝に見た陽菜は下駄箱の前にいた。そのときに手紙を入れていたのではないだろうか。
「そうかもしれないけど、どちらにしろ今はわからないよね」
「ああ、そうだな」
 陽菜の言うとうりだ。たとえ陽菜が本当にそうだとしても今はそれを証明する材料が足りない。
「で、ここに呼び出した理由とかっていうのは何なんだ?」
「こっちが聞きたいよ」
「手紙になにか書いてあったんじゃないのか?」
「書いてあったことには書いてあったけど、参考になりそうなことは書いてなかったよ」
「さっき複雑なこととかなんとか言ってなかったか?」
「たしかに言ったけど今は言う必要はないことだよ」
 断固として言わないつもりだろうか。まったく、
「なんか小さいことでもいいから教えてくれないか?」
「無理だよ」
「なんで――」
 ――だ……と言おうとして……陽菜の顔がすこし低い位置にあると気づき、その意味を察する前に。足が虚空を踏み、体が前のめりにな

った。慌てて体制を立て直そうとするが。既に遅し。つまり
 簡単に言えば、階段から落ちている。

「雄二!」
 陽菜がいつの間にか下段に移動しており、俺はその陽菜に近づこうとして、踏み外した。なんて間抜けなことだ。
 血の気が引いていく。陽菜も恐らく同じであろう。
 自分の体が無重力状態になる。陽菜が驚いたように目を見開いて、手を伸ばしてきていたので、反射的にどちらからともなく手を取って

しまい、後悔した。
 もちろんこの状況だ。手を取れば道連れになる。道理だ。そう思い、手を離そうとするが、陽菜からも握られていた。
 一瞬のことであった。もちろん受身も道連れの状態じゃあとりづらく、頭から落ちることをどうにか回避することができるだけだ。
 と、考えているうちに――いや、考えている暇もなかったのかもしれない、――右肩に強い衝撃を受けた。
 目の前にいるはずの陽菜が消えていた。それがわかり、

 そして、あの頭痛の無いまま、意識が暗黒へ引き込まれた。
 

posted by にのすけ at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「ファンタジー症候群 - 第四章」



    第四章



 なかなか体はもつものだな、と、どっかの意識から聞こえたような気がした。
 闇の中に放り込まれた途端だ。いや、闇の中に入った時点で時間などの感覚はないから、なんだろう、不可思議な意識――自分以外の意

識が自分の脳に入ってきたような感覚。自分の体が、いや、自分の精神がだれかにのっとられる感覚だ。
 今までの意識を失うことはなかった。今回だけだ。いや、本当に無かったか?と問われれば答えかねるだろう。なにせ記憶に無い。偶然

俺の思考にひっかることができたという程度だ。……自分でも何言ってるか判らんが、まあそんな感覚だ。

 いやいや、それよりもだ。
 頭の中でなにやら思考をまわしてるともう辺りの状況を認識できる程度になっていた。
 ここはどこだろう。目の壁に芝生が敷き詰められていて、明るい。お昼ごろだろうか。場所は恐らく新教育棟の屋上であろう。そして、

右側頭部にはなにやら暖かく、それも外気とはちがう暖かさで、そして柔らかい感触が伝わってくる。さらに視界は横に横転していた。そ

して自分は落ち着きがなかった。
 とりあえず落ち着くことにする。今の全五感を足し算する。なぜだろう、なんかいい予感なのか悪い予感なのかわからないものが胸のな

かでうずめいている。
「あ、お、起きた?」
 と、少々上擦った声をかけてきたのは結衣。上だ。
 そして、俺の無印ペンティアム級の頭で計算結果を示す。
 
 ……伝説の膝枕?
 
 まてまてまてまて、今の状況はなんだ。なにが起こっている? クラスメイトに膝枕? しかも人気が無い所で? 伝説?
 ……頭の中が粘々と混乱していく。
 とりあえず確認するため、恐る恐る顔を上に傾けてみる。と、結衣の顔があった。俺が下から見ている。目が合うと気恥ずかしそうに視

線をそらす。これは……、

 どのくらい時間が経っているのだろうか、たかが10秒かとも思うし10分くらいとも感じられるように時間の感覚が消えうせていた。
 そして、固まってた時が動く。
「と、とと、とりあえず、起き上がって、ほしいんだけど」
 名残惜しい。というのが本性。しかし抗うわけにもいかず、顔を持ち上げる。ホントに結衣に膝枕されていたようである。
「…………」
「…………」
 これは両者の沈黙。
 とても気まずい空気が流れる。聞かなくてはならないことはそれはもうたくさんあるのだが、なかなかこの空気を打ち破ることはできそ

うにない。そりゃあクラスメイトに膝枕なんてされたら何か考える前に頭がフリーズしてしまう。あれだ『タスクマネージャー[応答ないし

]』。
 自分の顔は大層赤く変色しているであろう。結衣までもが赤い顔をしているのだから。

「……えっと、お、起きた?」
「お、起きたというか……なんつーかは判らんが。……で、今はいつだ?そしてなぜお前がここにいる?」
 結衣から話し掛けてきたが、まだ気まずい空気が流れている。あえてそのまま話題につっこまないのもそれはそれで恥辱プレイにも感じ

られるが、こんなときに言い合わせる台詞を俺は持ってなどいない。
「今は三時一五分くらいじゃないかしら、私だってさっぱりわかんないわよ、休み時間にここに来いって陽菜から意味のわからないメール

が入ったから来てみたらあんたが倒れてたから、指示道理ここに来たんだけど」
 いろいろ気になることはあるが、今の状況について考えてみる。単純に考えれば、さっきまでから二時間進んできた。――いや、違うか

もしれない。異世界にいた二時間を眠っていたということなら異世界跳躍として辻褄が合う。それとも今度は別の世界か? もしかしたら

この世界では俺が結衣に膝枕されるような仲なのかもしれない。――いや、それもちがうな。となると――
 つまりはこういうことだ。もともといた世界をAとし、対した異世界をBとして、俺はさっきまでBの世界にいた間も等しくAの世界で

も気絶したまま時間を取っていた。つまりBの世界にいる間、Aの世界では気絶をしており、戻ってきた。
 今回はそれの逆で、AかBでの世界の行動を記憶していない、もしくは寝ていたかだが、向こうの世界の俺が今度はこちらに来ていたと

いうことではないだろうか。
 いやもう、さっぱりわからない。
 
 ともあれ、聞いてみるのが一番である。
「どこまで知っている」
「その前にどこから来た前の席の人なのか教えて?」
 確かに。ここは結衣のほうが正論だ。
「十一時五十五分頃に保健室の前で倒れて気が付いたらここにいた」
「てことはこっちの世界ね」
「じゃあやっぱ俺が行き来していたのは異世界とこの世界の間なのか?」
 さっき俺が仮定したのと同じだ。
「しらないわよ、今だってこの話が本当か疑ってるのにどうやって説明するの?」
「ああ、すまん。で、俺の問いに答えてくれ、どこまで知ってる?」
 と、結衣はポケットから携帯を取り出して、
「陽菜からメールがあったの、ついさっき」
 言いながら、携帯を手渡してくる。
『今すぐに新教育塔屋上入り口に来て。
 状況が把握できないとおもうからとりあえず落ち着いてそこに落ちてる者を屋上まで運んで寝かせといて』
 受信された時間を見ると一四時十分とある。
 俺が見終わり、結衣に手渡すと。携帯を操作して、
「それで、これが五分前くらいに来たメール」
 と、携帯の画面を見ると、スクロールバーがかなり小さくなっている。画面十ページ程だろうか、
 そこには今までの経緯がかなり詳細に明記されていて、――しかし特別自分が知らない情報はなかった。まるで自分が知ってることを書

けばこんな文章になるだろうと言うほどにだ。
 となると、この時間の陽菜もまだ何も解決していないのだろう。時間は……たしかに三時十二分とあった。
 結衣はしばらく時間を空けて、
「で、どういうことなの?というかホントなの?」
「ああ、今俺が知ってる内容とさっぱりかわらないな。少しは進展してると思ったんだが」
「まあ一応信じるとして、なんでこんなことになってるの?」
 ほんと、当然の疑問だ。俺が今一番知りたい情報でもある。
「さっぱり判らない、陽菜も未だに判らないみたいだな。それさえわかれば何かしらの糸口がつかめそうな気がするんだけど」
 結衣はふーんとか、あごを手に置きながら明後日の方向を見て考え込んでいる。
 もう一度結衣の携帯を見て思う。さすがに陽菜とて縦読みに何かしらに伏線を含んでいるまいかなと思い、見ると。『らがもこもい』…

…ないようだ。
 あれ?そういえば、
「お前授業は?」
「え?あ、ああ、なんかこんな状況だし、行くわけにもいかなくって保健室に早退するって電話したから」
「ああ、すまんな」
「べつにいいのよ、厄介ごとに巻き込まれるのは陽菜で慣れてるし、なんか楽しそうだったし」
 配役を変わってほしいものだ。
「んぁ?俺はどうなってるんだ?五限目と六時限目はしてた?」
「五時限目は授業に出てたけど、六時限目は陽菜と一緒にいなくなってたわよ。調子悪いとか言って」
 どういうことだろう。異世界の俺が授業に出ていたというのか。それともただたんに時間遡行しただけなのだろうか。
「その俺、なんか変わってるところ無かったか?」
「ん?いつもどおりじゃれ付いてたわよ、陽菜と」
「そうか」
 久しぶりの考えることに無意識に顔を強張らせ、思案顔になっていることが自分でもわかる。
「そういえば何で陽菜は一時から三時までの間のことについて詳しく書かなかったのかしら」
「やっぱ知られちゃいけないんじゃないのか、未来と過去が矛盾することになるぞ」
「陽菜がそんなことちゃんと考えるわけが無いような気がするんだが」
 ――ああ、むしろあいつは事態を矛盾させたがるような奴だしな。
「とりあえず何かしらの行動を起こさないとかわらなさそうだな」
「あ、そうだ、忘れてた」と結衣はポケットから携帯を取りだして、「これ、あんたの携帯でしょ?落ちてたわよ、階段のところ」
 といって、俺の携帯を渡してきた。
「ああ、ども」
 受け取った携帯を見ると、確かに見慣れた自分のそろそろ買い替え時の携帯だ。無くしたらこの期に買い換えようと思っていたものだが


 携帯を開いて時刻をみると、三時二十一分。サーバーの方に問い合わせて時刻を揃えてしまったんだろう。アナログの時計があればいい

んだが。
「ところで俺はどういう風に倒れてたんだ」
「んーと、屋上と四階の間の踊り場に仰向けになって倒れてたわよ。まるで階段から落ちたみたいに」
 そういえば今日の三時にここに呼び出しをされていた。もう終わったことだろうし結衣にいっても何ら差し支えはあるまい。
「今日の三時に、誰かは分からないんだが、ここに呼び出されてたんだ。なんか知らんか?」
「知らないわよ、呼び出した人に階段から突き落とされたんじゃないの?」
 なんて無礼な奴だろうと考え、やりそうな奴は頭に一人しか浮かんでこなかった。
 そして、落ちたなら何かしらの傷でもあるかと思い、右肩に変な違和感を覚えた。しかし、それはただ倒れたときにぶつけただけだろう

と思う。
「まあ、そう考えるのが妥当かもしれないが、もともと時空移動時にひどい頭痛で倒れるからそのせいじゃないかとも思う。きっとこの事

件に何らかの関係がある人が呼び出したとしか思えないし」
「でも誰に呼び出されたか分からないのよね。それで私が二時五五分頃にここに着いたとして、何でここに人がいなかったの?」
 結衣は首を微かに傾げ、かつ挑むように睨み付ける。器用なやつだ。
「それは今の俺には分からない、もしかしたら陽菜かなんかがここで落ち合うように仕向けたんじゃないかとも思うし、ただ単に何かしら

の用事があってここに呼び出したのかもしれないし、俺だけが奇怪な行動に出たのかもしれないし」
「まあ後者はないと思うけどね。それにもし別の用事だったら放課後に呼べばいいことじゃない」
「確かに。盲点だったな。これで事件に関係していることはほぼ確定だな」

 何か手がかりはないのだろうか。なんとなくポケットの中を探ると携帯以外に紙切れが入っていた。今朝方もらった手紙だ。結衣の携帯

の陽菜からのメールにはここに来た経緯が書かれていなかったから、きっとこのことは知らないはずだ。
「これに見覚えあったりしないか?」
 下駄箱に入っていた手紙を見せる。
「なにこれ、挑戦状?」
「こんなときにそんなもん見せるか。さっき言った手紙だ、このせいでここで倒れることになったのかもしれん」
「ふーん」
 結衣が手紙の内容をみると、
「見覚えないはね、とりあえず私の字じゃあないと思うけど」
「そうか」
 手紙の入手経緯について結衣に教えることにした。

 言い終わると結衣は言う、
「ってことは陽菜はこのこと知らないのかしら」
「いや、そうなると陽菜はさっき階段で倒れてたってこと知らないんじゃないか?」
「……どういうことなのよ、八方ふさがりじゃない」
「まったくだ」
 二人で方を竦めるジェスチャー。本当にややこしい限りだ。何かしらのヒントでもあればいいんだが。

 と、考えていても何か答えが見つかるということもなく、七時限目の授業が終わる十分前というところになってしまった。話し合ってた

というより、結論は出ないという結論が出て、ほとんど世間話をしていたため、出る結論も出なかったのかもだけなのかもしれない。
 さすがにホームルームくらいは出ようという話になり、鞄を取りに行くついでに陽菜の安否の確認とホームルームに出る。
 丁度七時限目が終わったらしい教室に入ると、そこにはやはり陽菜は居らず、空の席が残っていた。しかしバックはあり、妙な光景かと

は見られるが先生にはなにかしらの理由をつけて逃れているのであろう。
 担任が毎度お馴染みの文句を言い捨ててる間、俺はずっと思考をその事項に傾けていた。
 大体、なぜこんことになってしまったのか。
 分からない。何も悪さをしていないし、善さもしていないだろう。これは断言できる。さらに決して特別な存在でもなく、かつて何かに

巻き込まれたことも無かった。確かに陽菜が言うには事件に巻き込まれる主人公っぽい性格、とはいっているものの、根本的なつながりは
さっぱり無い。確かに陽菜ならこうなることを望んでいたのかもしれないが、それが実現するとなるとあまりにもそれはおかしすぎる。陽
菜に某神様的能力が備わっているかなんて問題にすらならない。しかし現に非現実的な事柄がおきているとなると、選択肢には常に非現実

的ななにかが付きまとってしまうものなのだ。それは換えられない事実でもある。
 そんなことは分かりきっているといえば分かりきってるが、原因はなにかしらほしい物だ。それが実にくだらないとしても、この事件に

関してのもやもやもやが晴れればそれでいい。

 気づくとチャイムが鳴っていた。ずっと思案していたようである。
「どうしたの?ものすごい剣幕で考え事してたみたいだけど」
 机に近寄ってきた結衣が言う。
「そうか?さっぱり事件の真相がわからなくてな」
「そうね、陽菜がいれば何かしらのヒントぐらい分かってそうなんだけどね」
 こう肝心なときにあの女はどこかに消えやがる。
「まあな、琴音さんに聞いてみるか?」
「あの子なら便りになりそうね」

「――というわけなんですよ」
「えーと、それがその小説の話なんですか?」
 と、本当のことを言わずに小説の話として話すことにしておく。さすがに突拍子のことを言っても信じてくれるは怪しいし、ただの怪し

い人に思われるのもご免だ。琴音さんには悪いが、そういうことにしておいた。
「ええ、まあ、後編の解決編がなかなか発売しなくって」
 なんとなく理屈には無理がある苦しい言い訳かもしれないが、何かいい案が思いつくわけでもないのでこう聞いた。
「はぁ――、えっと、ヒントはそれだけなんですか?」
「ええ、まあ。少ないですが」
「その、十三時時と十五時の間に何かあったかは分からないんですよね?」
「ええ、そこが明かされないところで解決していくので」
 やはりそこの部分が落ちぬけていると難しいのかもしれない。
「とりあえず異世界に渡ってるっていう根拠はその遡行先のおかしさ以外はないのですよね、だったらただの時間遡行ということも考えら

れるのではないでしょうか?決してその遡行先の人が騙している、という可能性も無くは無いので、」
 と、一旦思案顔のまま天井の方を向いて言葉を切る。
「あくまで私の予想なので、本当かは分かりませんが、きっと空白の時間に何かがあったんだと思います、恐らく何らかのきっかけを作っ

たんだと思うの。それに世界遡行の際は分からないけど、時間遡行の際は一度もその時間同士がかぶってないでしょ?そう考えればその時
点で移動すると分かっているのなら手紙なり何なりで早朝の事件のことを操ることができるのではないのでしょうか。四時以前の行動もし

時間遡行してないとは限りませんし、事件は5時の時点より前に起きているという可能性も存分にありますから」
 聞いてくるように言うが、相変わらず俺は答えを知らない。何か返事をしようとして口を開けかけると、
「あ、あの、あくまで私の仮定なんで、すいません、なんか力になれなくて」
 と、琴音さんは両手を胸の前で振って慌てたように言うが、そんなことはない。
「いえいえ、とってもいいヒントになったし、多分それが正解だと思いますよ」
「お役に立てれば光栄です、今度その本、貸してくださいね?」
 しまった。
「あ、は、はい、分かりました」
 思わず返事してしまったが、もちろんこんな出来事は現実の出来事であり、決して紙片に書き留めてあったものではない。しかし陽菜な

らもしかしたら似たような作品を知っているかもしれない。この事件が終わったら聞いてみよう。――終わればの話だが……。

「――という訳で、今のところこの案が有力じゃないかと思うんだ」
 と、琴音さんからの受けおりで聞いた話を結衣に話し終えた。現時刻は四時一〇分。陽菜を探すがてら校内を徘徊している。
「そうね、でも異世界っていうのも捨てきれないんじゃない?」
「ああ、そうだな。まあどちらにしろ三時に戻るか異世界に行くかしかわからなさそうだがな」
「そうね、陽菜がいれば解決するんだけど……どうしたのかしらね、こういうときに限っていないなんて」

 結局、他教室や食堂、保健室など陽菜のいそうな所を探したが、見つからなかった。もちろん携帯にもかけてみたが誰にも掛からず、電

波が届かないやらなになにやらを返された。
「どうしものかね」
 必要な時にあいつは連絡が取れないというなんとも自分勝手なやつである。溜息をついてしまう。
「ほんと、てことは六時まで待たなくちゃいけないのかしらね」
 結衣も溜息を零す。
「待つか?それとも未だ分からぬ手がかりを探しつづけるか」
「どっちでもいいけど私は何も無いような気がするのよ」
 両手を軽く上げ、お手上げというようなジェスチャーをしながら結衣は言う。顔は呆れたような顔だが。
「俺もだ、素直に待っていたほうがいいような気がする」
 と、俺もお手上げジェスチャーを返す。右も左も行けぬ、手詰まりだ。

 やる事も見つからず、なら勉強しなさい、との結衣の御教授のお陰で学園付属図書館にて勉強するはめになってしまった。
 たしかに一人で勉強するよりは幾分か捗るかもしれず、勉強をすることに。倒れた際に周囲の目から目立たないよう司書室兼図書委員の

いるカウンターから離れた場所を利用することにした。
 図書館に閉まるのは五時半で、俺が倒れてから三十分以内にこの教室から離れなくてはならない。
「すまんな、こんなことにつき合わせて」
 妙な事件に巻き込んだ上、勉強まで教えてもらっているという不手節さは自己嫌悪とまでいかないが、かなり申し訳ない。
「別にいいのよ、割と好きでつきあってんだから、せっかくだし頼りにしなさい」
 と、なにか小恥ずかしいことを言ってくれた。ほんとポジティブというか、頼りになる。
「ああ、頼りにするぞ」
「ええ」
 俺の懸案も多少は薄れ、勉強に集中することにした。

「もうそろそろね」
 結衣の声にびっくりして、顔を上げる。なんということだろう、勉強に集中していた。ありえん。
「何時くらいか?」
「五時五十分」
「もうそんなに経ってたのか」
 以外だ、やはり教えてくれる相手がいると違うのか。
「かなり集中してるように見えたからね」
「お前のお陰だな」
 あと五分。もうすぐだ。これで本当に何事かも完結するのだろうか。そんなことを思っていたのだが、その可能性は低いような気がする

。陽菜がいないのには何かしらの理由があり、面倒くさいことになっている可能性大、だ。
「次はどの雄二が出てくるのかしらね」
「……俺は俺のままだといいが」
「まあ、まだ実際は遡行するかどうかも分からないのよね」
「そうだな」
 適当に相槌を打つ
「…………」
「…………」
 しばしの沈黙が続く。なにか話すことがあればいいのだが。と、なにか思い当たることを思案していると、軽く頭に立ちくらみが襲って

きた。――あの頭痛だ。
 結衣が俺の歪んだ顔に気づいたのか、話し掛けてくる。
「頭痛?」
「ああ、今は何時だ?」
「え、えっと、四時、五五分くらい。どうすればいいの?」
 アナログ時計にあせあせと目をやり、聞いてくる。
「倒れそうになったら支えてくれ――」
 と、そこまで言って、もう口が動かないことに気づく。
 頭痛は酷くなっていく一方で、体も少しずつ感覚がなくなっていった。
 誰か別の人が見ていないか確かめようとしたがさっぱり操作が効かない。
「大丈夫、よ」
 結衣が恐る恐る言ってくれることが微かに聞こえる。それだけだ。
 何度も経験すればなれるものだと思っていたのが、絶対慣れそうに無い。
 意識は薄れていき、――ついに闇に包まれた。

posted by にのすけ at 22:07| Comment(0) | TrackBack(0) | そりゃ、あれでしょあれ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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